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働き方改革の具体的な取り組みを6つの企業事例を元に解説

働き方改革 具体例

日本政府が推進する「働き方改革」を受けて、多くの企業で労働環境の整備が進められています。

働き方改革に取り組んだ結果、従業員が働きやすくなったという企業事例も多いなか、思うように改善が進まず難航している会社もあるようです。

今回は、社内の「働き方改革」を効果的に進めるために参考になる具体的な取り組みを、事例を挙げながら紹介します。

働き方改革とは?

働き方改革について、首相官邸ホームページは次のように解説しています。

“働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。”

働き方改革の実現 | 首相官邸ホームページ

すなわち、国民全員が活躍できる社会にするために、働き方の多様化や、雇用形態などによる格差の解消を進めていこうという取り組みなのです。

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働き方改革で解決すべき3つの課題

働き方改革に取り組むことで、近年の労働環境に関するさまざまな課題を解消できると期待されています。特に解決が急がれている重要な課題を3つ解説いたします。

長時間労働の是正

働き方改革による解決が大きく期待されている課題は、長時間労働の是正です。近年、社会問題になっている過労死は、長時間労働が引き起こしている事例が少なくありません。

生産性の高い労働を維持するためには、十分な睡眠やリフレッシュが必要です。長時間労働の是正は、従業員の健康やワークライフバランスを改善し、生産性を向上させることが期待されています。

正規・非正規の格差解消

非正規雇用者の雇用が不安定になりがちであることも、現代社会での問題となっています。同様の労働をしていても、非正規雇用者の賃金や手当が、正規雇用者より低いといった事例もあります。

雇用形態の違いだけで待遇に格差があると、従業員のモチベーションは低下するでしょう。非正規雇用者の待遇を改善したり、キャリアアップできる機会を設けたりして、格差を解消していくことが重要です。

高齢者の就労促進

少子高齢化が進む日本では、就業意欲のある高齢者の活躍が期待されています。生産年齢人口は、15歳以上65歳未満とされていますが、65歳以上でもまだ働けるという人は少なくありません。高齢者にも働きやすい環境を整え、働き手を確保している企業事例もあるようです。高齢者の就労促進は、慢性的な人手不足を防ぐための、重要な取り組みだと考えられています。

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働き方改革における具体的な取組み

働き方改革の実現には、従業員が多様な背景を抱えていても滞りなく働けるように、労働環境を整備することが必要です。働き方改革の具体的な取り組みをご紹介します。

育児休暇の取得促進

男性・女性に関わらず育児休暇を取得できる環境は、従業員の育児負担を軽減し、産後女性のスムーズな職場復帰を促すでしょう。働き手の確保や優秀な人材の流出防止といった観点からも、出産や育児を理由に会社を辞めてしまう従業員を減らす取り組みは重要です。

企業によっては、父親になった男性社員に育児休暇に関するリーフレットを渡し、啓発を行っている事例もあるようです。労働環境を、仕事と育児を両立しやすいように整えることは、働き方改革の実現に向けた必要不可欠な取り組みだと言えます。

長時間労働の削減

前述の通り、長時間労働が常習化している労働環境は、過労死にもつながる危険な状態です。サービス残業や時間外労働を是正し、適正な労働時間を守る取り組みが必要となります。

働き方改革を受けて、残業を禁止するようになった企業も増えているようです。しかし、仕事を持ち帰って処理したり、休日に出勤する社員が増えたりと、新たな問題が生まれてしまった事例もあります。

長時間労働を防ぐには、残業の是正とともに、作業時間の適正化を進めることも重要です。自動化システムの導入や業務フローの改善を行うことで、長時間労働を削減できた事例もあります。検討してみるとよいでしょう。

在宅勤務(テレワーク)の導入

家庭で育児や介護を担っている従業員は、在宅勤務を行えるテレワークが導入されると働きやすくなる場合があります。

ただし、在宅勤務の導入には、社内のIT環境を整備する必要があります。テレワークに合ったコミュニケーションツールの導入や、社内ルールの見直しも同時に進めることで、成功した事例が多いようです。

短時間勤務の制度化

短時間勤務の制度化を行えば、育児中の従業員や高齢者の働き手でも働きやすくなるでしょう。生活環境に応じた働き方を選べる制度作りは、ワークライフバランスを向上させる効果を期待できます。

自由な出勤・退勤時間を選べるフレックスタイム制を導入したことで、子供の送迎を無理なくできる従業員が増え、働きやすい環境整備につながったという事例もあります。

賃金の引き上げ

政府は、労働者の生活水準向上を目的に、最低賃金を年率3%前後引き上げるよう指示しています。また、正規雇用者と非正雇用者の格差是正を行うために、「同一労働同一賃金」も推進されています。

働き方改革の一環として、企業が政府の指示に従い、実施していく必要のある取り組みです。

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働き方改革に向けた企業の取り組み事例6選

働き方改革を実現するためには、労働時間や待遇といった多様な面で改善に取り組む必要があります。具体的にはどのような取り組みが効果的なのでしょうか。

参考になる6社の企業事例をご紹介します。

また、今回ピックアップした事例以外にも、経団連が公開している「働き方改革事例集」に多様な事例が紹介されています。参考にして取り組んでみてください。

働き方改革事例集|経団連

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社では、女性社員の定着や活躍を促すために、さまざまな取り組みが行われています。従業員が育児や介護と両立しながら働けるように、子供の年齢に合わせた時短勤務の導入や、夫婦双方の働き方改革といった啓発を行っているそうです。

また、技術者として活躍できる女子学生を育成するために「トヨタ女性技術者育成基金」を設立し、継続参画しています。高校出前講座の実施や大学生の奨学支援プログラムの制定を行い、将来製造業で働く女性の増加や育成に力を入れているのです。

取り組みの結果、女性の基幹職数や事技職数が増員し、女性退職率の減少が実現できたということです。

トヨタ自動車株式会社|厚生労働省

花王株式会社

花王株式会社は、ワークライフバランスを、仕事と生活の観点だけでなく、仕事の効率性の向上や、従業員の健康増進といった面にまで広げて取り組みを進めています。

同社は、2008年からフレックス制を取り入れていましたが、2015年7月からはコアタイムを廃止したフレキシブルタイムが採用されています。家庭の事情や海外との業務の都合で、コアタイムに労働ができないと、かえって労働時間のしわ寄せが生まれてしまうと判断されたからです。

フレキシブルタイムを導入した結果、人事や情報システム部門などにおいて、所定外の労働時間が減少したと報告されています。労働時間に関する制度は、従業員の働きやすさに合わせて随時更新していくことが重要だとわかる事例だと言えるでしょう。

花王株式会社|厚生労働省

ヤマトホールディングス株式会社

EC市場の拡大や消費スタイルの変化で、近年小口貨物は増加している傾向にあります。また、労働者不足の問題も抱え、物流業界の経営は厳しい状況にあるようです。

ヤマトホールディングス株式会社は、難しい状況下でもサービスの質を保つために、グループ全体で「働きやすさ」や「働きがい」を向上させる取り組みを行っています。

従業員が安心して働き続けることができるように、キャリアアップできる制度を設け、勤続年数などの基準を満たした有期労働契約の従業員が、法定年数よりも早く無期労働契約に転換できるように取り組んでいます。

労働時間管理の透明性を高めるために、従来の携帯端末による労働時間管理から、入退館時刻を労働時間に反映する管理方法にルールの改訂を行うといった取り組みも行われているようです。

ヤマトグループの働き方改革|ヤマトホールディングス

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社は、社内のスローガンとして「Smart & Fun!」を掲げ、働き方改革を推進しています。

労働時間に関しては、各従業員が最も働きやすい時間帯に業務にあたれるスーパーフレックスタイム制の導入を行い、メリハリをつけた労働を促しています。

また、働く場所の自由度といった面では、在宅勤務に加えて、サテライトオフィスでのテレワークも導入し、場所に縛られることのない労働環境整備を進めているそうです。効率的で創造性の高い労働を実現するために、AIやIoTといったITも大いに活用されています。

SoftBank流 働き方改革|ソフトバンク

株式会社東急百貨店

株式会社東急百貨店では、従業員が自らワークライフバランスを考えて働くことが、企業理念である「お客様にとって、なくてはならない存在」の実践につながると位置づけ、取り組んでいます。

事例としては、本社部門でフレックスタイム制を導入し、朝8時10分から勤務ができる朝型勤務の推進が挙げられます。終業時間帯が早まることで、各従業員は終業後の時間を、家族と過ごす時間や、自己研鑽の時間などにあて、有効活用しているそうです。

ノルマや義務を求めるのではなく、あくまでも従業員に協力してもらうという形で進められていますが、所定外労働の削減に効果が出てると報告されています。

株式会社東急百貨店|厚生労働省

ブラザー工業株式会社

ブラザー工業株式会社でも、フレックスタイム制度による朝型勤務が取り組まれています。朝の時間を有効に活用し、チームや部門間での段取りなどを効率的に行えるようになったということです。

また、労働時間を正しく把握するために、専用のシステムに打刻する方法が導入されています。従業員が打刻した時刻と、IC入門証の入退時間との差異時間が調べられるように工夫されており、本人と上司が確認できるということです。

効率的に働ける労働時間を模索しつつ、正確な労働を把握する取り組みを行っている企業事例だと言えるでしょう。

ブラザー工業株式会社|厚生労働省

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まとめ

働き方改革を実現するために、多くの企業がさまざまな取り組みを行っています。しかし、他社の事例を同じように実践しても、自社でうまく活用されるとは限りません。各社の事例を参考にしながら、自社に合った方法を模索し進めていくことで、働き方改革の成功につながるでしょう。

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