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デジタルガバナンス・コード2.0(旧 DX推進ガイドライン)とは?概要やポイントを解説

dx推進ガイドライン

近年、DXの必要性を理解し実行しようと動き出す企業が増えています。一方で、「DXの必要性は感じるが、どのように取り組めばよいのかわからない」と頭を抱えている方もいるでしょう。

この記事では、DXを推進する立場の方が知っておくべき「デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)」について紹介します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

経済産業省によると、DXは以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

引用元:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0|経済産業省

つまり、DXはデジタル技術を導入することのみをさすのではなく、データやデジタル技術の活用によってもたらされるさまざま変革のことを意味しています。

経済産業省はDXを推進するため、複数の施策を展開しています。施策については「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」に掲載されていますので、あわせてご確認ください。

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DX推進ガイドライン・デジタルガバナンス・コードとは?

「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」、通称「DX推進ガイドライン」と「デジタルガバナンス・コード」は、いずれも経済産業省が発表した、DX推進のための資料です。

「DX推進ガイドライン」は2018年に発表されたもので、日本企業がDXを進めていく際の指針が示されています。一方、「デジタルガバナンス・コード」はデジタル化で変革する社会における経営者の対応をまとめた資料として、2020年に発表されました。

これら2つの資料は2022年に統合・改訂がほどこされ、現在は「デジタルガバナンス・コード2.0」が取りまとめられています。多くの企業が抱える課題を踏まえ、前提となる考え方やめざす方向性、取り組み例などが掲載されています。業種や規模に関係なく幅広い企業に向けた内容なので、あらゆる企業の経営者・DX担当者が目を通しておくべき資料といえるでしょう。

デジタルガバナンス・コード2.0|経済産業省

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DX推進ガイドラインが作成された背景

日本企業の多くがDXの必要性・重要性を認識し、実際にDXを進めようとしています。その一方で、既存のITシステムの問題に頭を悩ませている企業も少なくありません。

というのも、多くの企業が使用しているITシステムは、老朽化・複雑化などさまざまな問題を抱えている状態です。この問題を解決するには、ITシステムを新たに構築する必要があります。

このような背景から、DX推進ガイドラインには「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」について明示されることになりました。

また、中にはITツールやシステムを導入しデジタル化を実行したものの、ビジネスモデルや組織そのものの変革にまでつながっていないケースもみられます。

業務のデジタル化を組織の変革につなげるためには、デジタル技術をいかにビジネスの変革につなげるのかという経営戦略が重要です。それに加え、経営者によるコミットメントや実行する際のマインドセットなども欠かせません。

このような背景からDX推進ガイドラインには「DX推進のための経営のあり方、仕組み」についても明示されています。

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DX推進ガイドラインを構成する2つの要素とその内容

DX推進ガイドラインは、以下の2つの要素で構成されています。

・DX推進のための経営のあり方、仕組み
・DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築

それぞれについてみていきましょう。

DX推進のための経営のあり方、仕組み

「DX推進のための経営のあり方、仕組み」には5つのチェック項目が示されています。具体的な内容とともに紹介します。

チェック項目内容
経営戦略・ビジョンの提示どの事業分野で、どのようなビジネスモデルで、どのような新たな価値を生み出すのか
経営トップのコミットメント経営トップがDXに対し強くコミットしているか
DX推進のための体制整備・マインドセット:新しく挑戦できる環境、挑戦を継続できる環境があるか・サポート体制:DXに必要な仕組みが整っているか・人材:DXに必要な人材を確保できているか
投資等の意思決定のあり方・ビジネスに与えるプラスの影響、および投資をしないことによるリスクを考慮しているか・挑戦を躊躇させる判断をしていないか
DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力DXによって変革されるビジネスモデルが、経営方針の転換やグローバル展開にすばやく対応できるものであるか

DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築

「DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築」のチェック項目は、大きく「体制・仕組み」と「実行プロセス」の2つにわけられ、さらにそれらが細かく分類されています。

【体制・仕組み】

チェック項目内容
全社的なITシステムの構築のための体制・各部門・組織の両方で、デジタル技術を活用できる基盤が整っているか・ITシステムの設計ができる仕組み・人材が確保できているか
全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス・既存システムを把握したうえで、ガバナンスを打ち立てているか・企業自らがITシステム構築の企画・要件定義をしているか
事業部門のオーナーシップと要件定義能力・各部門がオーナーシップをもってDXに取り組んでいるか・ベンダー企業に丸投げしていないか

【実行プロセス】

チェック項目内容
IT資産の分析・評価・組織内のサーバーや既存システム、ソフトウェアなどの現状を評価できているか
IT資産の仕分けとプランニング・社内で横断的にデータを活用できるよう、システム間で連携がはかれているか・不要になったIT資産を廃棄できているか
刷新後のITシステム:変化への追従力・新たなデジタル技術が導入されているか・全社的に最適なシステム構成になっているか

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デジタルガバナンス・コードの構成内容

デジタルガバナンス・コードは以下の4つから構成されています。

・ビジョン・ビジネスモデル
・戦略
・成果と重要な成果指標
・ガバナンスシステム

それぞれ紹介します。

ビジョン・ビジネスモデル

デジタルガバナンス・コードには「ビジョン・ビジネスモデル」に関する内容が盛り込まれています。柱となっているのは、以下の3つの要素が重要であるという考え方です。

1.ビジネスとITシステムを一体的にとらえ、デジタル技術による変化を踏まえて、経営ビジョンを策定すること
2.経営ビジョン実現のために、ビジネスモデルを設計すること
3.経営ビジョンやビジネスモデルの方向性をステークホルダーに公表すること

なお、デジタルガバナンス・コードではいずれの要素においても、ステークホルダーとの積極的な対話が経営者の重要な役割であると位置づけています。ここでいうステークホルダーとは、顧客や投資家、人材など、新たな価値を生み出すパートナーのことです。

戦略

デジタルガバナンス・コードでは、「戦略」について以下の2つの要素が重要だと考えています。

1.自社がめざすビジネスモデルを実現するためのデジタル戦略を策定すること
2.ステークホルダーにそのデジタル戦略を公表すること

具体的には、以下のような状態を推奨しています。

・DX推進のための具体的な戦略が明らかになっている
・既存ビジネスの変革に向けて、データとデジタル技術を活用した取り組みが実施されている
・新規ビジネスの創出に向けて、データやデジタル技術を活用した取り組みが実施されている

成果と重要な成果指標

デジタルガバナンス・コードでは、「成果と重要な成果指標」について以下の2つの要素を推奨しています。

1.戦略の達成度を示す指標を定めること
2.ステークホルダーに成果の自己評価を公表すること

具体的には、以下のような状態が望ましいとしています。

・戦略の達成度がKPIで評価されており、KPIに目標値が設定されている
・すべての取り組みにKPIを設定し、KGI(最終財務成果指標)へ帰着させている
・KPIについてステークホルダーに公表している

ガバナンスシステム

デジタルガバナンス・コードでは、「ガバナンスシステム」について以下の3つの要素を重要視しています。

・ビジョンやデジタル戦略についてメッセージを出すなど、経営者がリーダーシップを発揮すること
・経営者がITシステムの課題を把握・分析し、戦略の見直しに活かすこと
・サイバーセキュリティ対策を適切に行うこと

具体的には、以下のような状態が推奨されています。

・経営者が自らの言葉でステークホルダーに、ビジョンの実現について発信している
・経営者がDX推進部門の責任者と積極的にコミュニケーションをとっている
・経営者がサイバーセキュリティリスクを正しく認識し、対策のためのリソースを確保している

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DX推進ガイドラインとあわせてチェックしたい!DXレポートとは

「DXレポート」とは、DX推進ガイドラインとともに、DX推進の施策として発表されている報告書のことです。日本における企業のDXを分析し、見えてきた課題が詳細にまとめられています。

2018年から発表されており、2023年2月時点で以下の3つのDXレポートが公表されています。

DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~|経済産業省
DXレポート2(中間取りまとめ)|経済産業省
DXレポート2.1(DXレポート2追補版)|経済産業省

経営者やDX担当者は、DX推進ガイドラインに加え、DXレポートにも目を通しておきましょう。

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まとめ

DX推進ガイドラインは、企業がDXを進める際に役立つ資料です。経営者・DX担当者として知っておくべき内容がまとめられていますので、しっかりと確認しておくことをおすすめします。

DXを進めるための仕組みやマインドセットを理解できたとしても、実際にDXを進めるとなると迷ってしまうこともあるでしょう。そのような場合は、自社に合うDX支援ツールを検討してみるのもひとつの方法です。

「J’s X(ジェイズクロス)」は、業界・業種に合わせた幅広い支援を提供しています。実績も豊富ですので、安心して導入していただけるでしょう。ぜひご検討ください。

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