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DX推進指標とは?経済産業省の定義や活用方法などをわかりやすく解説

dx推進指標

DX推進を考えてはいるものの、どのようにして取り組んだらよいかわからないという企業は少なくありません。また実際にDX推進を行っている企業でも、自社のDXの進捗状況がわからず不安に感じることは多いのではないでしょうか。

そのような際に「DX推進指標」を使うと、DXを効率的に進めたり、客観的に評価したりすることができます。当記事ではこの「DX推進指標」について詳しくご紹介します。

DX推進指標とは

DX推進指標とは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための基準や目標を示すものです。経営者や社内の関係者が現状や課題を共有し、DX推進に向けて実際の行動に結びつけられるようにするため、2019年に経済産業省がDX推進指標を策定しました。

DX推進指標は企業が自ら簡単な診断を行えるようにするためのもので、具体的には次の2つから構成されています。

1.DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標
2.DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標

各々で定性指標と定量指標が設定されており、定性指標には9つのキークエスチョンとサブクエスチョンがあります。

キークエスチョンとは、DX推進やITシステム構築の大まかな方針を決めるための重要な項目で、経営者が回答したほうがよいでしょう。一方、サブクエスチョンはキークエスチョンに関する詳細な情報を示す項目で、経営者と関連部署が話し合って回答することが想定されています。

また回答する際は、根拠を明確にするとよいでしょう。根拠が明確で客観的であれば、DX推進の責任者が変わったり、外部アドバイザーを利用したりする場合でも、情報共有が円滑になります。結果として、素早く施策を行うことができるでしょう。

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DX推進指標が提示されるに至った理由・背景

データやデジタル技術を活用し、新たなビジネスモデルを展開する新規参入者が現れています。このことにより、あらゆる産業において大きな変化が起こり競争が激化するなかで、企業はDXを迅速に進めていく必要があります。

DXが進まない

実証的な取り組みを行っている企業は多い一方、実際のビジネス変革につながっている企業はあまり多くないという課題がありました。

しかしながら既存のシステムが残り続け、DX推進ができないと「2025年の崖」問題が起きる可能性があるとし、経済産業省が警鐘を鳴らしました。

「2025年の崖」とは

既存システムの老朽化や複雑化が進むと、システムの全体像を把握できない状態となります。その結果、全社横断でのデータ管理や連携をしようとしても容易にはできなくなるでしょう。また既存システムのメンテナンスが困難になると、セキュリティ上の問題や災害が発生し、システム障害を招きます。それにより、データが消失したり外部に流出したりする危険性が高まってしまうでしょう。

結果として、新しいビジネスモデルや市場の変化に対応できなくなり、2025年以降、日本に最大12兆円もの経済損失をもたらす可能性があるのです。この問題が「2025年の崖」問題といわれています。

本格的なDX推進のために

「2025年の崖」を超えるためには、既存システムを刷新し、本格的なDX推進を実施して競争力を高めることが重要です。そのために、企業がDX推進をしやすくなるように提示されたのがDX推進指標なのです。

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DX推進指標の活用方法

DX推進指標はどのように活用すればよいのでしょうか。

1.認識共有

DXは企業にとって新しい取り組みであることが多く、効果的な施策の実施方法やDXで解消すべき課題を共有するのは難しいのです。

そこで、DX推進指標を活用するとよいでしょう。DX推進指標は、DX推進への取り組みを全社的に行う考え方をもとにつくられています。そのため、DX推進指標を活用し、社内の関係者同士で意見を交換して認識の共有を図ることで、部署を横断した共通認識をつくることができるのです。

2.アクションにつなげる

新しい取り組みであるDXは、他社の成功事例に頼りながら手探りで始めることが多いでしょう。しかしながら、他社の事例が自社に適用できるとは限りません。

そこで、DX推進指標を用いると、自社の現状や課題を把握し、自社が取り組むべき方向性を検討することができます。次に何をすべきなのかをしっかりと議論し、実際のアクションにつなげることが重要です。

3.進捗管理

DX推進指標は、現在取り組んでいることの進捗管理や評価にも活用できます。DX推進指標には2種類あり、その1つである「定性指標」はDX推進の成熟度の診断が可能です。これにより、自社のDX取り組みレベルを確認できるでしょう。

一方、「定量指標」は具体的な指標で数値から算出されます。この指標は評価や効果の測定に活用できるでしょう。

またDX推進指標を用いることで、進捗管理や評価をフラットに行うことができるというメリットもあります。DX推進に関する関係者間でのギャップを減らすことで、より効率的なDX推進を行えるでしょう。

4.PDCAサイクルを回す

DX推進指標はPDCAサイクルを回すうえでも重要です。DX推進指標を用いた自己診断は一度や二度だけ行うのではなく、定期的に継続して行いましょう。達成した成果を分析したうえで次の目標を設定することで、持続的なDXの実行につながります。

DX推進指標をうまく活用することで、DX推進がおのずと全社的な活動になるでしょう。

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DX推進指標の自己診断

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標自己診断フォーマット」に記入すると、DX推進指標の自己診断を行うことができます。また、この自己診断結果をIPAに提出すると、診断結果の分析が可能で、ベンチマーク資料を受け取ることもできるのです。これにより、他社との比較を行いながら自社の課題について改めて考え、次のアクションを検討することができるでしょう。

ベンチマークが公開されるのは自己診断結果を提出した企業のみです。しかしながら、他社の全体的な傾向を確認したい場合は、IPAが自己診断結果を提出した企業について分析した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート」をみることができます。

DX推進指標 自己診断結果入力サイト

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DX推進指標における定性指標とDX推進の成熟度の考え方

DX推進指標における定性指標では、質問への回答をもとにDX推進の成熟度を評価することが可能です。自社の現状を把握し、次にすべきアクションを明確にするために成熟度は以下の6段階にわけられています。

経産省「DX推進指標とそのガイダンス」図3 成熟度レベルの基本的な考え方

引用元:経産省「DX推進指標とそのガイダンス」図3 成熟度レベルの基本的な考え方

レベル0

DXに対して関心がない、あるいは関心があっても全く取り組んでいない状態です。

レベル1

DX推進に対する全社戦略が明確になっていない状態です。一部の部門のみでのDX推進の試行や実施にとどまっており、全社的な取り組みにはなっていません。

レベル2

DX推進に対する全社戦略は明確になっていますが、全社的なDX推進の実施には至っていない状態です。全社戦略に基づき、一部の部門のみでDX推進が実施されています。

レベル3

DX推進に対する全社戦略は明確で、その戦略に基づき部門を横断して取り組んでいる状態です。全社的に取り組まれることが望ましいですが、この段階では必ずしも全社での同じ仕組みの実践を指しているわけではありません。

レベル4

明確な全社戦略に基づいて持続的なDX推進が行われている状態です。また、その取り組みを評価する仕組みも整備されており、必要に応じて積極的に改善もしていきます。

レベル5

DX推進によるビジネスモデルの改革に成功し、デジタル企業としてグローバル市場での競争を勝ち抜くことのできるレベルまで達している状態です。

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DX推進指標活用のポイント

DX推進指標を活用する際のポイントを5つご紹介します。

自社に合わせたカスタマイズ

DX推進指標はあくまでも標準的な例にすぎません。そのため、自社のビジネスモデルや環境に合わせてカスタマイズし、活用することが重要です。そうすることで、目標設定や評価がしやすくなり、現状把握を正確に行うことができます。

納得できる目標設定

社員のモチベーションを維持して目標達成に向かうためには、納得感のある目標設定をすることが重要です。そのためDX推進指標を活用して目標を設定する際は、可能な限り明確な数値目標にしましょう。現状をしっかりと分析して全社員で共有し、納得できることが大切になります。

点数にとらわれすぎない

DX推進指標は、DX推進の現状や今後の課題を把握して、次のアクションにつなげるための指標です。DX推進の最終目的はよい点数をとることではないため、点数にとらわれすぎないように気をつけましょう。

DX推進指標の自己診断結果を活用して社内で議論を行い、必要なアクションを行うことが重要です。

ビジネスモデルを評価するものではない

DX推進指標は、現状のビジネスモデルを評価するものではありません。どのようにビジネスモデルを改革するかを重視しているため、DX推進指標を上手く活用し次につなげることで、経営目標が達成できるように進めるとよいでしょう。

DX推進そのものが目的ではない

DX推進指標を活用することで迅速なDX推進を図ることは目標の1つです。しかしながら、DX推進の目的は、DX推進そのものではなく、企業改革による顧客への新しい価値の提供と競争力の強化です。この前提をしっかりと理解しておきましょう。

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まとめ

DX推進指標を活用することで、DXの進捗状況を客観的に評価でき、DXを効率的に進めていくことができます。

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