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IT人材は不足している?必要なスキルや育成の方法を紹介

IT人材

インターネットが普及しIT革命が1995年以降に加速しました。世界的なIT企業が誕生するなど、IT化の波が爆発的に広がったことを肌で感じてきた方も多いことでしょう。

ITに囲まれた生活が当たり前となっている今、実はビジネスの現場でIT人材が不足しています。

本記事ではIT人材が不足している理由と、その不足を補うためのIT人材に必要なスキルや育成の方法を紹介します。

IT人材とは

IT人材と聞いて「ITに関わる人」を想像すると、かなり幅広い分野の人材が当てはまります。なかには、つかみどころがない印象を持つ人もいるかもしれません。

ここでは、経済産業省によるIT人材の定義を参考にしながらご説明していきます。

IT人材の定義

独立行政法人情報処理推進機構は、公開した「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書」において、IT人材を

「従来のIT人材(IT企業や事業会社の情報システム部門等に所属している人)に加えて、 ITを活用して事業創造や製品・サービスの付加価値向上、業務のQCD 向上等を行う人も含む」

と定義しています。

IT技術の開発に直接的に関わる人だけでなく、ITを活用して新たな製品やサービスをつくり出す人も含むのが特徴的といえるでしょう。

IT人材とデジタル人材との違い

IT人材と似た言葉に「デジタル人材」があります。あえて分けて認識をしようとしなければ、両者の違いに気が付かないかもしれません。

しかし、2つの言葉の意味合いは、少し異なります。

経済産業省の「IT人材の需給に関する調査」によると、デジタル人材は「ユーザー企業のデジタル化を推進するための組織に所属する人材」と記されています。

ITのユーザー側の企業でデジタル化(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための人材がデジタル人材ということです。

IT人材は、IT企業や企業の情報システム部門に所属する人やITを活用した製品やサービスを開発する人ですので、違いは明らかでしょう。

IT人材が必要となった背景

新型コロナウイルス感染症が流行し、多くの人が新しい生活様式を採用することになりました。

非対面・非接触でもビジネスを継続する手段として、リモートワーク環境の整備やオンライン会議ツールの活用などは緊急対策的なものであったかもしれませんが、ITの活用が急速に進んだ企業もあるでしょう。

長年、アナログの手法でビジネスを行ってきた企業であっても、デジタル化やオンライン化に迫られたはずです。

しかし、感染症によって気付かされただけで、デジタル化の波は確実にビジネスの世界に浸透してきています。

今、スマートフォンを1人1台持っているのが当たり前となりつつあり、生まれた時からインターネットがある環境で育ってきた「デジタルネイティブ」のZ世代が社会で活躍する時代になりました。

疑問に思ったことはすぐにスマートフォンで調べて解決ができますし、欲しいものがあれば、スマートフォンで電子商取引(EC:Electronic Commerce)が可能なショッピングサイトで探してボタン1つで購入することができます。

経済産業省が2021年度に報告した2020年度の産業経済研究委託事業「電子商取引に関する市場調査」報告書によると、企業と消費者間(BtoC:Business to Customer)の電子商取引規模は、2013年に5兆 9,931億円から7年間で2倍以上の12兆2,333億円に拡大しました。

経済産業省「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」

引用元:経済産業省「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」

このように、デジタル化の波は市場の変化も引き起こしているといえるでしょう。企業にITの知識や技術を持つIT人材が関わっていなければ、市場の変化にもついていくことが難しい時代になったのです。

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日本におけるIT人材は現在不足している?

2016年に経済産業省がまとめた「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、日本の人口減少に伴って、IT関連産業に入職する人は2019年をピークに退職する人を下回り、IT関連産業人口は、減少に向かうと予想されています。

さらに、IT関連産業で働く人の平均年齢は、2030年まで上昇し続け、高齢化が進むことも把握されました。

IT人材の供給がこのままの状態であれば、近い将来、IT人材全体の規模は減少に向かう可能性があるということです。

下記は、同調査結果内で示しているIT系人材の推移を予想したグラフです。IT人材の需要の伸びによって必要となる人材数が異なるため、高・中・低の3段階のシナリオで検証されていますが、中位シナリオであっても2030年には45万人もの人材が不足するという予想が示されています。

IT人材白書2020/独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センター

引用元:IT人材白書2020/独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センター

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IT人材に求められる必要スキル

IT人材が不足している現状ではありますが、実はもう1つ、IT人材の質の部分にも課題を抱えています。必要とされているスキルと経験値を持ったIT人材がいないことで、人材不足に陥っているといるという側面もあるのです。

今の社会で活躍できるIT人材とはどのような人材なのか、チェックしてみましょう。

DX推進

デジタル技術を活用して、企業のビジネスを変えて行くスキルのことです。

DX推進は、コストの削減や生産性の向上につながるなど、企業に大きなメリットをもたらします。

さらに、今後の労働人口減少の中で、事業を継続していくために非常に重要な改革ですので、IT人材にDX推進のスキルがあるかどうかは非常に重要だといえるでしょう。

AIやIoTの開発

「AI」(Artificial Intelligence:人工知能)や「IoT」(Internet of Things:モノのインターネット)を活用して企業の業務改善を行えるスキルを持ったIT人材がいれば、業務の効率化や正確性アップなどを図ることが可能です。

例えば、人間の視覚をAIに置き換えることができれば、目視検査などに人員を配置する必要がなくなります。

IoTは、人海戦術で行っていた倉庫の棚卸し作業をせずとも、スマートフォンにICタグをかざすだけで在庫管理ができるなど、人件費の削減に貢献できるでしょう。

一般的には「AIエンジニア」「IoTエンジニア」といった職名で呼ばれるIT人材です。

ビッグデータの活用

ITを駆使して集められた顧客の閲覧履歴や購入履歴といったビッグデータをセールスやマーケティングに活用できれば、市場拡大も狙えます。

ビッグデータを解析し今後の動向を予測したり、分析結果を業務改善につなげたりするスキルを持った「データサイエンティスト」「データアナリスト」などといったIT人材の活用が重要です。

経済産業省のITSSでスキルをチェックする

経済産業省は、2002年12月にITスキル基準である「ITSS」(ITSSIT Skill Standard)を策定し公表しました。

ITSSは、横軸に11職種と38専門分野を置き、縦軸に7段階のレベルを設定し、ITスキルとレベルを網羅的に示しています。

2004年からは、先述の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が管理し、情報処理技術者などの保有資格と合わせて、スキルの習熟度合いや実務経験、実績なども合わせて指標を設けています。

自社に求めるIT人材のスキルも確認

IT人材と一口に言っても、ITの開発やマネジメントなどでは持っているスキルが異なります。

自社に求めるIT人材のスキルを自社内のIT人材や担当部署に確認し、場合によってはIT人材の面接などにも同席してもらい、スキルの確認をしましょう。

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IT人材は採用するべき?育成するべき?

IT人材の活用が必要に迫られたとき、多くの企業が以下の2つの選択を迫られます。

・IT人材を採用する:他社で活躍してきたIT人材を採用し、自社で活躍してもらう。
・IT人材を育成する:自社でIT人材として従業員を育成し、活躍してもらう。

IT人材を採用するべきなのか、自社で育成するべきなのか、迷う場合もあるでしょう。採用と育成のメリットとデメリットを紹介しますので、自社をイメージしながら検討してみてください。

IT人材採用のメリット・デメリット

IT人材を採用するメリットは、即戦力として力を発揮してもらえることです。ほかの企業で経験を積んだIT人材を中途で採用できれば、自社のDX化などもぐっと進む可能性があります。

新卒で採用する場合は、中途採用者とは異なり、即戦力とはなりづらいですが、プロパー社員として自社のDX化の流れを見せながら力を蓄えてもらうことができるでしょう。

IT人材を採用で確保するデメリットは、採用が難しいことにあります。IT人材は不足し続けていること、さらには高齢化も進んできているからです。

先に紹介した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」にも、以下のような結果が示されています。

経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」

引用元:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」

諸外国と比べて日本のIT人材は「転職に消極的」であると報告されており、中途採用をしたくても、転職希望者が少ない状況といえるでしょう。

IT人材育成のメリット・デメリット

IT人材を育成して確保するメリットは、IT人材に育てる中で社員の質を高められることです。

人材採用のように、確保できるスケジュール感がつかめないといった状況からは脱することができるでしょう。

デメリットは、IT人材の中途採用と比較すれば、育成するまでに時間と教育にかかる費用が必要です。

また、初めてIT人材を育成するのであれば、どのように教育していくかというカリキュラムの設定など、さまざまな課題に向き合わなくてはなりません。

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IT人材育成方法をステップごとに解説

IT人材の中途採用が厳しい状況であれば、自社でIT人材を育てようという企業もあるでしょう。

自社内でIT人材を育成するための方法を解説します。

ステップ1:自社の経営戦略に基づいた人材育成方針をつくる

自社がDXによりどのような変革を成し遂げることが必要なのか、経営戦略を立てた上で、どのようなスキルを持ったIT人材が必要なのかをまずは検討しましょう。

その後、どのようなスキルを持ったIT人材をどの程度の期間で何人育成していくのか、育成方針を明確にします。

例えば、企業が3年後にDXで変革するためには、どのようなスキルを持った人材が必要なのか、その先にはより高度なスキルを持った人材が活躍するのかなど、将来的なビジョンを描いてみましょう。

ステップ2:育成計画つくる

先に紹介した「ITSS」にはITスキルと知識を効率的に習得するための道しるべとなる「研修ロードマップ」が用意されています。

各職種と専門分野で必要とされるスキルと知識が整理されているロードマップを参照すれば、自社の経営戦略と人材育成方針に合わせた育成計画をつくりやすくなるでしょう。

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IT人材育成の手段

自社でIT人材を育成する手段には、実はさまざまなものがあります。

社内研修

企業内にIT人材がいれば、社内研修の講師として活躍してもらいましょう。

自社内のDXについて、どのような経過をたどり、現在があるのかといった社内DXの変遷も伝えられるため、自社でDXを進める重要性を認識してもらえることでしょう。

社外研修(外部研修)

IT人材育成のための研修事業を展開している企業もたくさんあります。

自社のIT人材に必要な教育メニューを選び、導入してみるといいでしょう。

eラーニング

インターネットを活用した学習方法「eラーニング」(e-Learning)にもIT人材の育成プログラムが用意されています。

いつでも、どこでも受講できるのがメリットです。

店舗を運営しているような企業の場合は、店舗営業の終了後に従業員に受講してもらうこともできるでしょう。

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まとめ

IT人材の活躍が求められながらも、必要な人材が得づらい状況にあることがわかりました。自社内でIT人材を育てつつ、DXを進める準備もしていきましょう。


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