働き方改革の実施やコロナ禍の影響を受け、テレワークなどの新しい働き方が導入されるようになってきました。従来の方法では対応しきれない事も増え、業務改善の必要性を感じている企業も少なくないでしょう。
業務改善を適切に行えば、社内の変化に合わせて業務工程を見直しながら、生産性向上や各種コストの削減を効率的に進めることができます。今回は業務改善を実現するための詳しい方法を、事例やアイデアを交えながらご紹介します。
業務改善とは
業務改善とは、業務上の問題を洗い出して解決することで、生産性や効率を上げることです。不要な業務やコストを削減しながら、企業利益の向上を図れます。
労働環境の改善につながるケースも少なくありません。従業員の満足度やモチベーションが上がれば、さらなる生産性向上につながり、サービス向上の好循環を生み出せます。企業と従業員の両方が多くのメリットを得られる取り組みなのです。
経費削減と業務改善の違いとは
経費削減とは、費用の削減に重点を置いた取り組みです。光熱水費や通信料を見直したり、ペーパーレス化を行ってコピー代を無くしたりという方法があります。余計な費用が発生している場合は削減することも重要です。しかし、業務の効率性や労働環境が悪化するような経費を削減してしまうと、かえって生産性が落ちてしまう場合もあります。
業務改善では費用だけでなく、業務上のさまざまなムダに着目し、取り除いていくことを目指します。業務効率化や従業員の負担軽減を通してコストも削減していくという点が、単なる経費削減との大きな違いだと言えるのです。
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業務改善におけるQCDとは
QCDとは「Quality・Cost・Delivery」の頭文字を並べた言葉で、日本語に訳すと「品質・費用・納期」を指しています。顧客満足度を高めるために見直すとよい要素ですが、各要素は相互に作用するので注意が必要です。安直に費用や納期を縮小すると、品質が落ちて顧客離れにつながってしまう場合もあります。
業務改善では、QCDの各要素を直接操作する調整は行いません。例えば費用の最適化は、品質を下げて調整するのではなく、作業工程でのムダを省いてコスト削減を図るといった方法を取ります。QCDをバランスよく改善していくことができるので、無理なく顧客満足度向上を目指せるのです。
業務改善を実施の効果・メリット
業務改善を実施すると、生産性やコストの面で改善効果が期待できます。時間や費用に余裕ができれば、人材育成に力を入れることも可能です。効果やメリットについて詳しく解説いたします。
生産性向上
業務改善は、業務を効率よく行えるように、業務フローの見直しやシステム化を進めるものです。生産性が向上するので、同じ時間やコストをかけても、今までより大きな成果につながるというメリットが得られます。
コスト削減
作業にかかる人員や時間を縮小でき、人件費や光熱水費といったコストの削減が可能です。また、必要のない資料作りなども減らしていくことで、コピー代などの消耗品費も抑えることができるでしょう。
人材育成の強化
生産性向上やコスト削減が成功すれば、人員や時間、費用に余裕ができるでしょう。従業員のスキルアップにコストを投入できるようになり、人材育成の強化が図れます。クリエイティブな業務や新しい事業にも積極的に取り組めるようになれば、企業全体の成長につながる効果が期待できるのです。
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業務改善の進め方5つのステップ
業務改善は段階的に行うことで効率よく進められます。進め方として5つのステップを紹介いたします。
業務改善の目的を明確にする
まずは何を改善したいのか、目的を明確にしましょう。新しいシステムを導入する場合などを考えても、目的が時間短縮なのかコスト削減なのかで、導入するべきシステムは変わってきます。業務改善の目的を社内全体で共有し、取り組む従業員のモチベーションを維持することも重要です。
業務の可視化と課題の整理
全ての業務を可視化し、改善が必要な業務を洗い出します。業務改善が必要な工程は、日々の細かな作業に潜んでいるケースが少なくありません。時間やコストがかかりすぎている業務は、問題を引き起こしている根本的な要因まで確認していきましょう。
改善が必要な業務が見つかれば、課題を整理します。非効率的な作業をしている、必要以上に繰り返しているなど、解決が必要な問題を明らかにしておきましょう。デジタル化や自動化できそうな工程を見つけて機械の導入を検討することも重要です。
優先順位を明確にする
優先順位を意識すると、押さえるべき項目が絞られて業務プロセスを捉えやすくなります。絶対に外せない作業から必要性の低い作業までを明確にしていきましょう。手順の入れ替えや統合をすることで効率化できる場合もあります。業務プロセスを最も簡素な形に整えていき、作業時間やコストの削減につなげましょう。
業務改善計画の策定と実行
業務改善計画を策定します。行うべき改善を反映したマニュアルを作り、実行のためのスケジュールや体制を整えます。事前準備や手順まで細かく計画を練ることが重要です。
計画を立てたら、実行に移します。自動化やシステムの活用、外部委託なども実際に行ってみましょう。
業務改善の振り返り
業務改善は振り返りの工程が重要です。施策の実行と修正を繰り返すことで、最も効率的な形が見えてきます。長期的な取り組みになっても一定期間ごとに見直して、問題点を改善しながら進めていきましょう。
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業務改善を行う際の注意点
業務改善は客観的な視点が重要です。業務にあたっていると、非効率的な方法であっても現行の方法が当たり前のように感じてしまう場合も少なくありません。また、課題についてヒアリングを行う際には、不利益を恐れて問題を隠そうとする従業員が出ないように配慮する必要もあるでしょう。
業務改善が思うように進まない場合は、主観的になっていないかを再確認し、社外の事例を参考にしてみるなどして客観的な視点を意識してみてください。より効率的な業務改善を行いたい場合は、コンサルタントのサービスを活用し、プロからのアドバイスを受けることも重要です。
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業務改善に必要なフレームワーク5選
業務改善を行う際にはフレームワークが活用できます。業務の可視化や課題の整理がしやすくなり、思考時間やコストを削減することができるでしょう。フレームワークについては下記の記事で詳しく解説されているので、確認してみてください。
今回は業務改善で特に必要なフレームワークを5つご紹介します。
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業務改善に役立つフレームワーク13選 – 活用のメリットもあわせて紹介
QCD
QCDとは「Quality・Cost・Delivery」のことで、「品質・費用・納期」を意味します。業務の改善や顧客満足度を高める上で重要なものですが、綿密に結びついていることを考えなければならない3要素です。1つの要素の値だけを良くしようと動かすと、他の要素についての悪化が起きてしまいます。バランスよく改善していきましょう。
ECRS(イクルス)
ECRS(イクルス)とは「Eliminate・Combine・Rearrange・Simplify」の頭文字です。「排除・結合・交換・簡素化」を意味し、業務改善の優先順位について、順番と視点を示しています。まずは排除できる工程を探し、次に結合できる作業を見つけて、といった具合で進めていくと効率的な業務改善を行えるので、意識してみてください。
KPT
KPTは「Keep・Problem・Try」の頭文字で、振り返りに関するフレームワークです。行った施策をかえりみて「うまく回ったので維持すること」と「問題が起きたため改善すべき課題」を明らかにし、「次に試みること」を考察するというものです。定期的かつ短期間に繰り返すと高い効果が得られます。業務改善に携わった従業員でディスカッションして取り組みましょう。
ロジックツリー(決定木分析)
ロジックツリー(決定木分析)は、業務の可視化を行う際に役立つフレームワークです。生産性低下や業務停滞の要因となっている「ボトルネック」の発見を手助けしてくれます。1つの業務や課題について、木の枝を広げるように関連する事柄を細分化して書き出していきましょう。分解して論理的に考察できるので、課題の特定に有効です。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、価値が生まれる工程を分析するフレームワークです。業務プロセスを「価値連鎖」とみなして分析することで、工程ごとの特徴を把握できます。問題点だけでなく自社の強みにも着目するので、競合他社との差別化を図る際に力を入れるべきポイントが把握できます。
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業務改善の具体的な事例・アイデア
業務改善はいかに効率よく行うかが鍵となるので、役立つ方法は積極的に取り入れましょう。4つの具体的な事例・アイデアを紹介いたします。
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業務効率化のアイデア事例8選を紹介!進め方やポイント・ツールまで
アウトソーシングの活用
業務をアウトソーシングすることで、コストや時間を削減することができる場合も少なくありません。専門性の高い業者に依頼することで品質向上が可能になります。社内での業務や人材育成を、自社で取り組みたい分野に注力できるので、生産性の向上を図るためにも有効です。
コミュニケーションツールの活用
社内で課題や情報を共有しやすくするために、コミュニケーションツールを活用しましょう。報告・連絡・相談を気軽にできる環境作りをしておくことで、小さな問題も早期に発見でき、解消に向けて動くことができます。
タスク管理ツール・プロジェクト管理ツールの活用
業務改善の進捗状況を共有することも重要です。タスク管理ツールやプロジェクト管理ツールを活用し、現状や次に行うべきことについて誰もが把握できるように工夫しましょう。
RPAの活用
RPAはロボットを導入して工程を自動化するものです。単純作業や繰り返しの多い作業は、AIやルールエンジンを用いて自動化すれば、時間短縮やミスの防止が図れるので、導入できる工程がないか探してみるとよいでしょう。
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まとめ
業務改善は企業の生産性や効率を上げるために重要な取り組みです。経営層だけでなく従業員全体で一丸となって行えるように、無理のない方法を模索していきましょう。
業務改善では客観的な視点も重要となるため、コンサルティングやテンプレートの提供が受けられる『J’s X(ジェイズクロス)』のサービスも活用してみてください。『J’s X』は、あらゆる業務プロセスをシンプルにする、業種や業務に特化したソリューションサービスです。豊富な導入実績と高い汎用性で貴社の業務改善を効率的に推進いたします。ぜひお問い合わせください。