DX

DX推進にAIはなぜ必要?関係性や導入のポイント・成功事例をまとめて解説

近年、DX推進という言葉を耳にする機会が増えています。

DX推進に欠かせない手段のひとつとしてあげられるのが、AI技術の導入です。しかし、AI技術を導入するだけでは、DXは実現できません。AI技術を最大限に活用してDXを実現するためには、DXとAIの関係性を正しく理解する必要があります。

今回はDXとAIの関係性やAIによるDX推進の重要なポイント、AIによるDX成功事例について解説します。

DXとAIの違い

DXとAI、どちらの言葉も聞いたことはあるものの、「意味の違いがわからない」「詳しくは理解できていない」という方は多いものです。

DXは「デジタル技術の活用によって、生活やビジネスが変容していくこと」、AIは「人間のように学習し、人間の代わりに実現する技術」を指す言葉です。

ここでは、DXとAIそれぞれの言葉の意味と関係性について、詳しく解説します。

DXとは

DXとは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」を略した言葉です。

DXの定義や解釈は多義的ではありますが、日本では経済産業省が2018年に発表した「DX推進ガイドライン」や「産業界のデジタルトランスフォーメーション」内では、下記のように述べられています。

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”

日本におけるDXとは、単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を活用してサービスやビジネスモデルを変革し、自社の競争力を高めることです。

経済産業省「DX推進ガイドライン」
経済産業省「産業界のデジタルトランスフォーメーション」

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AIとは

AIとは、「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」を略した言葉です。日本では、「人工知能」とも呼ばれています。

AIという言葉の生みの親であるジョン・マッカーシー教授は、AIを「知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と定義しています。しかし、AIの定義は曖昧で、研究者や専門家の間でも意見が定まっていないのが現状です。

AIの最大の特徴は学習能力です。人間のように自ら考え学習し、人の行動や言動を吸収し成長することができます。

DXとAIの関係性とは

DXの推進には、IoT、ビッグデータ、RPA、クラウドといった、最先端のデジタル技術が必要です。AIもそれら最先端のデジタル技術に含まれ、DX推進を行う手段のひとつです。

DX推進におけるAIの役割は、主にデータの分析や処理、予測です。人間では捌き切れないほどのビッグデータを短時間で処理することができ、業務の効率化やビジネス拡大が期待できます。

とはいえ、AIを導入しなくてもDXを実現できる可能性もあります。「AIの導入=DX実現」という関係性は成り立たないことを覚えておきましょう。

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DX推進にAI導入が必要となる理由

DX推進には、データを素早く正確に活用することが必須条件です。

しかし、近年はデータを活用する企業が増えたことで、保有するデータは膨大になり、人の手では処理しきれなくなっています。そこで、データの分析や処理を得意とするAI導入が必要とされています。

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AIによるDX推進の重要なポイント

AIはDX推進の手段であることを理解した上で、AIによるDXを実現するためにどのようなことに気をつけるべきか、重要なポイントを確認しておきましょう。

DX推進・AI導入の目的を明確にする

DX推進及びAI導入を進める上で、最も重要なのが目的を明確にすることです。

まずは、DX推進の目的から明確にしましょう。DXによって目指したい企業価値は何なのか、そのための課題や問題点はどこにあるのかなどを具体的にします。そして、それらを解決する手段として、AIの導入を検討するようにしましょう。

あくまでもDXはビジネスモデルを変革して自社の競争力を高めるための手段であり、AI導入はDXを実現するための手段です。「DXを推進すること」「AIを導入すること」が目的とならないよう注意しましょう。

AI導入に必要なリソースや技術を把握する

AIを活用するリソースや技術がなければ、いくら最先端のAIを導入したとしてもDXは実現できません。DXの推進とAI導入の目的が明確となったら、それらを実現するために必要なリソースや技術を把握しましょう。

自社のリソースや技術に不足がある場合は、AI導入前に解消しなくてはなりません。具体的には、DX推進及びAI導入のための体制構築やガバナンスの整備、人材や予算の分配などがあげられます。これらの取り組みは、経営陣が率先して取り組む姿勢が必要です。

データの収集

AIによりデータ分析を行うためには、データ収集が必要不可欠です。基礎となるデータが不十分である場合、質の高い分析結果は得られません。

自社にデータが蓄積されていない状態であるのなら、まずデータを収集することからはじめましょう。必要となるデータは業務によって異なりますが、分析結果や予測の制度を高めるためには、より質の高いデータを収集する必要があります。

AIによるDX推進の実現には、データをどの程度収集できているかが鍵を握るのです。

AI人材の確保・教育

AI人材とは、AIに関する深い知識を持っているだけなく、AIシステムの構築や運用ができ、その技術をビジネスに活かすことができる人材を指します。

AIによるDX推進には、AI人材の確保も必要です。DX推進を外部に委託する場合でも、発注先企業の担当者と会話が成立する程度のAI知識が求められます。

日本のAI人材の不足は深刻化を増し、多くの企業がAI人材の確保に苦戦しているのが現状です。そのため、企業はAI人材を確保するだけでなく、社内におけるAI人材育成の必要性も高まっています。

自社のDX推進に貢献してもらえるよう、AI人材の教育及び育成にも注力しましょう。

支援するパートナー企業に依頼するという手も

経済産業省は、DXの実現を妨げている要因として人材不足をあげています。

自社でAI人材の確保や育成が難しい場合は、パートナー企業に依頼するのもよいでしょう。社内に足りない人材やスキルがを明確化しておくことで、自社に合う企業を選定しやすくなります。

AIについての深い理解があり、さまざまなプロジェクト実績のあるパートナー企業と提携できれば、より一層DXの実現が期待できます。

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AIによるDX推進の成功事例

AIによるDX推進に取り組むにあたり、成功事例を参考にするとよいでしょう。

ここでは、人々の暮らしの中にある、AIによるDX推進の成功事例について紹介します。

無人決済システム

「無人決済システム」とは、カメラやセンサーから取得されるデータの活用により、商品を手に取るだけで自動会計ができる技術です。

無人決済システムの代表的なサービスとしてあげられるのが、ウォークスルー型の完全キャッシュレス店舗「TOUCH TO GO」です。

レジを通り過ぎるだけで決済が完了するため、有人レジよりも短時間での買い物が可能となります。省人化・省力化で店舗運営コストも削減でき、人材不足解消にもつながります。

介護ロボット

「介護ロボット」とは、要介護者の排泄や入浴、コミュニケーションといった、特に人的負担がかかる分野の負担軽減を目的に開発されたロボットです。介護ロボットにはさまざまな目的や用途に合わせた種類があり、AIを搭載した介護ロボットも開発されています。

コミュニケーション専用の介護ロボット「PALRO」や要介護を見守る「AiSleep」などが、実際に導入された介護ロボットです。

介護業界の慢性的な人手不足を打破するために、厚生労働省でも介護ロボットの開発と普及が促進されています。

待ち時間予測システム

NECによって開発され、羽田空港国際線旅客ターミナルの空港保安検査場内に提供された「待ち時間予測システム」も、AIによるDX推進の成功事例です。

このシステムによって、2箇所ある検査場の混雑状況がリアルタイムに分析され、待ち時間の予測が可能となりました。

利用者は表示される混雑状況を見て、2箇所ある検査場のどちらを利用するべきかが判断できるため、利便性の向上が図れます。検査場の利用率の平準化により、航空機運航の遅延減少にもつながっています。

スマートスピーカー

人々の暮らしでもAIによるDXが進んでいます。代表的なものとしてあげられるのが、Google Home(グーグルホーム)やAlexa(アレクサ)といった「スマートスピーカー」です。

スマートスピーカーとは、対話型の音声操作に対応可能なAIアシスタントを搭載しているスピーカーです。音楽を再生するだけでなく、「ニュースを読んで」「今日の天気は?」と音声で操作するだけで、自動的に必要な情報を読みあげてくれます。

家電操作やメッセージの送信が可能なスマートスピーカーもあり、人々の暮らしをより豊かにしてくれます。

チャットボット

「チャットボット」とは、AIを活用した自動会話プログラムです。想定された質問やその質問に対する答えなど、会話に必要なデータをAIに学習させることで、ユーザーからの質問に自動で返答が可能となります。

チャットボットの導入は、スタッフの負担軽減やコスト削減につながります。24時間365日問い合わせができることから、ユーザーの満足度向上も期待できるでしょう。

チャットボットは、カスタマーセンターだけでなく、自治体のDX推進としても導入されています。

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まとめ

AIはDX推進を実現するための一手段ではあるものの、導入だけではDX推進の実現は目指せません。

AIによるDX推進には、まずDX推進の目的を明確にし、AI導入に必要なリソースを整えることが必要です。さらに、AIに必要なデータ収集や人材確保を行うことで、DX推進の実現が確実なものとなるでしょう。

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