近年、DX推進が求められ、DXに取り組む企業は増加しています。しかしながら、DXに必要な技術やその用途は多岐にわたるため、業務内容や目的などを十分に考慮したうえで、自社に適したテクノロジーを選定することが重要です。本記事では、DXに必要なトレンドの技術とその活用事例をご紹介します。DXについての知識を深め、自社での導入イメージを膨らませましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
新しいデジタル技術を利用して、今までにないビジネスモデルを構築しようとする新規参入者が出現し、大きな変革が起きています。このような状況下で、企業は競争力を維持・強化するために、DXを迅速に進める必要があるでしょう。
DX実現のため、経済産業省は2018年に「DX 推進ガイドライン」を策定しました。このガイドラインのなかで、DXは次のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
また経済産業省は、産業界のDXを推進するため「デジタルガバナンス・コード」に基づいたさまざまな施策を展開しています。
経済産業省「DX 推進ガイドライン」「産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進」
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DXに必要な代表的技術
DXに必要な技術にはさまざまなものがあります。それぞれの技術を最大限に活用するためには、各々の特徴や違いを適切に理解し、具体的な活用方法や発展の可能性を検証することが重要です。
ここでは、代表的な7つの技術についてご紹介します。
IoT
IoTは「Internet of Things」の略称であり、「モノのインターネット」とも呼ばれています。これは、家電や自動車などのさまざまなモノや装置にインターネットを介して接続することで、リアルタイムで情報を収集し、制御することを可能にする技術です。モノ自体がインターネットに接続していなくても、IoTに対応した機器を取り付けると、IoTを利用することができるようになるのです。
IoTはさまざまな分野での応用が進んでおり、スマホで操作できる「スマート照明」や自動運転技術などにも活用されています。
ビッグデータ
ビッグデータは、従来のデータ処理システムでは扱いきれないほど膨大な量や種類のデータのことです。
ビッグデータは3つのVである「データの量(Volume)」「データの種類(Variety)」「データの発生頻度・更新頻度(Velocity)」で構成されています。これらのビッグデータを高速で処理することで、有用な情報を引き出し、ビジネスや社会に役立てることができるのです。
例えば、顧客の行動や嗜好を分析して新商品の開発に活用したり、生産プロセスを最適化したりすることができます。
AI
AIとは、「Artificial Intelligence」の略で「人工知能」を意味します。データを学習し、自律的に判断や意思決定を行うことができるのが、AIの大きな特徴です。AI技術を利用して、膨大なデータを取り込み、パターンを認識することで、多様なタスクに対応できるようになるのです。
AIは、大きく「認識系のAI」「予測系のAI」「実行系のAI」の3つに分類され、以下のように活用されています。
・認識系のAI:画像判別、検索、音声判断など
・予測系のAI:数値予測、マッチングなど
・実行系のAI:表現の生成、デザインの設計など
ICT
ICTは「Information and Communication Technology」の略称であり、情報通信技術のことを指します。これは、情報技術と通信技術が融合したもので、私たちが日常的に使用しているメールやSNS、チャットなどに活用されているのです。このように、ICTは個人や企業などで幅広く利用されており、生活を豊かにしてくれます。またビジネスや教育などの分野において、生産性や効率性を高めることもできるでしょう。
ICTと似ている言葉にITやIoTがあります。しばしば混同されますが、ITは情報技術そのもの、IoTはモノとインターネットをつなぐ技術であることを理解しておきましょう。
RPA
RPAは「Robotic Process Automation」の略称で、人が行っている定型業務などをロボットが代行する技術です。RPAの大きな特徴として、異なるシステムやアプリケーション間を横断する業務の自動化にも対応できることがあげられます。RPAを利用することで、システム開発などの大規模な設備投資を行うことなく、さまざまな業務を自動化することができるのです。
RPAを導入するメリットは、入力モレや記載ミスといったヒューマンエラーを減らすことができることです。さらに、業務の効率化やコスト削減、自動化による生産性向上なども期待できるでしょう。
クラウド
クラウドは、「cloud computing(クラウド コンピューティング)」とも呼ばれ、インターネットなどのネットワークを介して、サーバーやストレージ、ソフトウェアなどを利用する技術のことです。
以前は、手元のパソコンやサーバーのなかにソフトウェアをインストールして利用するという方法しかありませんでした。しかしながらクラウドの登場により、インターネットに接続されたデバイスさえあれば、自由にソフトウェアを利用したり、データを共有したりできるようになったのです。
現在では、さまざまなサービスがクラウドで提供され、システムをクラウド上に構築する企業も増加しています。
XR
XRとは、現実世界には存在しないものを表現または体験できる技術の総称です。XRの「X」は、さまざまな技術を表す変数を意味しており、現在は以下の4つがXRに含まれています。
・仮想現実(VR:Virtual Reality):専用のVRゴーグルやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着することで、CGなどでつくられた仮想世界を、現実の世界のように体験できる技術
・拡張現実(AR:Augmented Reality):スマートフォンやタブレットなどのデバイスを使用し、カメラを通して見る現実の世界にCGやテキストといった仮想世界を重ね合わせ、現実の世界が拡張されたような体験ができる技術
・複合現実(MR:Mixed Reality):現実世界と仮想世界を重ね合わせ、2つの世界が融合したかのような体験ができる、VRとARを組み合わせた技術
・代替現実(SR:Substitutional Reality):過去の映像を現実世界に置き換えて、あたかも今起こっているかのように認識させる技術
XRはエンターテインメントだけでなく、近年ではバーチャル会議や遠隔指導など、教育や医療、ビジネスでも広く活用されています。
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DXの推進事例
近年、多くの企業がDXを進め、新たなビジネスモデルの創出や生産性の向上を図っています。今後、あらゆる企業で前述したような技術の導入が予想されるため、自社でそれらを活用する具体的なイメージを持つことが重要です。以下では、さまざまな技術を活用したDXの推進事例をご紹介します。
茨城県
近年の日本の農業は、高齢化や後継者不足、労働環境の過酷化といった多くの課題に直面しています。こうした課題を解決するため、政府も注目しているのが、ロボット技術やIoTなどの先端技術を活用した「スマート農業」です。
茨城県ではこのスマート農業技術を導入し、規模拡大や生産性向上に取り組んでいます。具体的には、ロボット草刈機や直進アシスト機能付き田植え機などを使用しています。
スマート農業技術を活用することにより、生産効率の向上だけでなく、農業従事者の所得向上にもつながるでしょう。
大日本印刷株式会社
DXを積極的に推進している企業はたくさんありますが、DXに成功している企業は多いとはいえません。そのようななか、大日本印刷株式会社はDXを成功させている企業の1つです。
同社は、持続可能なよりよい社会、より心豊かな暮らしを実現する新しい価値の創出に向けて、DXを推進しています。その一環として、2022年11月には、販売・購買・在庫管理などの社内システム基盤を、オンプレミスからクラウドに移行しました。この移行により、セキュリティ対策を強化してBCPや安定的な稼働を実現したのです。またそれとともに、基幹システムの運用負荷を軽減し、サーバーなどの導入・維持・管理コストを削減することにも成功しました。
社内基幹システムのクラウド移行により“攻めのIT”を推進 | ニュース | DNP 大日本印刷
さくらホームグループ
クラウド実践大賞実行委員会は、2022年10月に「全国中小企業クラウド実践大賞東海・北陸大会」を開催しました。これは、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化した事例を競い合うコンテストです。この大会で、北陸総合通信局長賞にさくらホームグループ株式会社が選ばれました。
同社は北陸3県において暮らしの総合サービスを提供する企業です。不動産・建築業界はIT後進といわれるなか、同社は自動化・可視化・標準化という観点からDXに力を入れています。RPAなどの技術を積極的に導入し、創業以来ITを活用した生産性の高い組織づくりを進めているのです。
全国中小企業クラウド実践大賞の賞状を授与いただきました。(BS事業部)|プレス|さくらホームグループ
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まとめ
当記事でご紹介したDXに必要な技術や他社のDX推進事例も参考にしながら、自社に適したデジタル化を進めていくことが重要です。しかしながら、自社に合ったDX技術を選定し、導入するのは容易なことではありません。
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