多くの企業がDXに取り組むなか、DXリテラシーの重要性が見直されています。DXリテラシーとは、DXを進めるにあたって理解しておくべき学習内容です。
今回は、DXリテラシーとはどのようなものであるかを解説し、教育方法や学習のポイントを紹介します。
DXリテラシーとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を用いて企業全体を変革していくことです。また、リテラシーとは「読み書きの能力」という意味の言葉ですが、ビジネスでは「知識や能力を活用する力」を指します。
すなわちDXリテラシーとは、「DXを進めるために必要な知識や能力を身に付け、有効活用できる力」だと言えます。デジタル技術の知識や扱い方を身に付けることに加え、DXの必要性を正しく理解することや、技術を活用して企業の変革に取り組めるといった能力も含まれるのです。
▼関連記事
DXとは?進め方や事例をわかりやすく解説
企業のDX推進のメリットは?推進のポイントや事例もあわせて紹介
経産省「DXリテラシー標準」での定義
経済産業省は「DXリテラシー標準」を策定しています。
身につけるべきデジタル技術や能力をまとめた「DXリテラシー標準」は、「働き手一人ひとりがDXに参画し、その成果を仕事や生活で役立てるうえで必要となるマインド・スタンスや知識・スキルを示す、学びの指針」と位置づけられています。
近年のデジタル技術の発展で、ビジネスや社会全体の環境が大きく変わってきました。世界規模で起きている産業・経済の変化に対応するためには、すべてのビジネスパーソンが、DXリテラシーを身につけていく必要があります。
また、国民の一人ひとりがDXを自分事として捉え、責任を持って学び続けていくことで、デジタル技術による社会の変化に対応できるようになることが期待されているのです。
DXリテラシー標準
デジタルスキル標準 (METI/経済産業省)
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
DXリテラシーとITリテラシーの違い
ITとは情報技術を意味し、ネットワークや情報処理、コンピューターに関するものを指します。厚生労働省が2017年に発表した報告書では、ITリテラシーが次のように定義されています。
”現在入手・利用可能な IT を使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。いわゆる IT 企業で働く者だけでなく、IT を活用する企業(IT のユーザー企業)で働く者を含め、すべてのビジネスパーソンが今後標準的に装備することを期待されるもの。”
引用元:平成29年度ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書
報告書では具体的なITリテラシーとして、以下が挙げられています。
1.ITの種類と機能・仕組み、活用法の理解。
2.課題解決に有効なITを選定・操作し、目的にかなう情報の取得・分析・表現を行い、課題解決につなげる能力。
3.ITを安全に利用するためのコンプライアンスや情報セキュリティの知識。
これらはDXリテラシーにも当てはまります。しかし、DXリテラシーではITリテラシーに加えて、「変革」や「推進」までを行っていく力が必要とされています。
DXリテラシーでは身に付けた技術で現状を改善するだけでなく、新たな取り組みを行って、ビジネスや生活を変えていく力が重視されているのです。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
DXリテラシーはなぜ必要なのか?
DXリテラシーが必要とされる背景には、デジタル技術の急速な発展にともなう環境変化があります。DXリテラシーが必要とされる大きな理由を3つ解説します。
顧客ニーズの変化に応えるため
インターネットやスマートフォンの普及により、顧客の生活は大きく変化しています。常に最新の情報を把握し、自社のサービスを最も顧客に届きやすい形で展開するためには、情報収集や商品開発などさまざまな面でDXが必要です。
激化している企業間競争に対応するため
デジタル技術を活用した、新しいサービスやビジネスモデルが増えてきています。激化する企業間競争の中で、自社の商品やサービスを展開していくためには、従業員一人ひとりがDXリテラシーを身に付け、企業のDXを進めていくことが重要です。
「2025年の崖」を回避するため
DXが急がれる背景には「2025年の崖」の問題があります。国内企業の多くが、古くブラックボックス化した「レガシーシステム」を使っており、最新のデジタル技術に対応しきれていません。世界経済の競争に追いつけず、2025年以降の年間経済損失は12兆円にのぼる可能性も指摘されています。労働者全員がDXリテラシーを学習し、「2025年の崖」を回避するためにDXを進める必要があるのです。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
DXリテラシーの底上げをする上での課題
社員のDXリテラシー強化を図り、取り組みを行っている企業も少なくないでしょう。しかし、思うようにDXリテラシーの底上げが実現できていないケースもあるようです。DXリテラシーの底上げで問題になりやすい課題について、解決策を紹介します。
DXを進めて目指すゴールの設計できていない
デジタル技術を活用しなければならないと、新しい機器やシステムをやみくもに取り入れても、活用できなければ意味がありません。従業員も、明確なビジョンが見えていなければDXに取り組みづらく、DXリテラシーも浸透していかないでしょう。
まずは、DXを進めることでどのような企業にしていきたいのか、目指すゴールを設計することが重要です。目指す企業像が固まったら従業員と共有し、社内全体で取り組んでいくムードを高めるようにしましょう。
他社のDX成功事例を有効活用できていない
他社でのDX成功事例を調べて研究することは、DXリテラシーを理解するために大切なことです。しかし、1つの成功事例がどのような企業にも適合するとはかぎりません。他社の事例をそのまま組み込むのではなく、自社に合ったDXの進め方を検討していく必要があります。
社内のDXリテラシー教育においては、他社の成功事例を紹介するだけでなく、自社の抱えている問題や課題を従業員と共有することも大切です。自社でDXが不足している部分を明らかにし、全員で改善策を考えていくといったDXリテラシー教育を模索しましょう。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
DXリテラシーを高める教育方法
DXリテラシーを高めるための効率的な教育方法をご紹介します。
ナレッジシェアリング
ナレッジシェアリングとは、知識やノウハウを企業に所属する従業員全体で共有することです。DXリテラシーを高めるためには、他社での事例を学習する機会を設けることや、自社の取り組みについて情報共有できる環境作りをすることで、ナレッジシェアリングを実施していくとよいでしょう。成功したDXがあれば社内SNSなどで広報すると、従業員のモチベーション向上にもつながり効果的です。
DXリテラシー講座・研修
DXリテラシーに関する講座や研修を活用するのも効果的です。近年はさまざまな団体がDXに関する外部研修を行っています。対面式のものだけでなく、eラーニング講習やオンライン研修などもあるため、自社の従業員が受講しやすいものを選択しましょう。
DX検定
DX検定は、幅広いIT技術トレンドやビジネストレンドが問われる知識検定です。デジタル技術をビジネスに利活用したい人が、確かな知識を身に付けられるようにと、2018年7月に創設されました。得点に応じてDX知識レベルの認定証も発行されるので、DXをすすめる企業は人材育成や知識評価の基準指針として活用できます。名刺やプロフィールへの認定レベル掲載も可能なため、認定を受けた従業員のモチベーションアップにもつながりそうです。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
DXリテラシーを学習するにあたってのポイント
企業全体でDXリテラシーの学習を進めるためには、モチベーションや学習意欲を高める環境作りが重要です。
最新のデジタル技術について情報共有を行う
AIやブロックチェーンのような最新のデジタル技術にも、得意分野・不得意分野があります。最適な方法を選んでDXを進めるためには、それぞれのデジタル技術にできることを理解しておくことが重要です。最新情報を社内で共有できる環境を整えましょう。
日々の業務の中で課題を見つける習慣を作る
新しいビジネスモデルの創出や業務効率化につながるヒントは、日々の業務上で見つかることも少なくありません。アイデアや課題を気軽に報告できる環境を整え、従業員が積極的に課題発見に取り組むムードを作りましょう。
当事者意識を持って取り組む環境を作る
DXリテラシー浸透は、経営層からの一方的な指導では進みません。従業員一人ひとりが当事者意識を持って取り組む必要があります。日ごろからDXの進捗状況を共有したり、従業員同士が情報交換できる機会などを設けたりといった工夫をして、従業員を巻き込む形でDXリテラシーの学習を進めていきましょう。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
まとめ
社内全体のDXリテラシー学習を進め、従業員の課題解決に取り組むモチベーションを高めることが、業務効率化や新しいビジネスモデル創出につながります。思うようにDXが進まないという場合は、DXリテラシー学習を見直してみると効果があるかもしれません。
また、DXを効率よく進めるためには、業務プロセスに最適なデジタル技術を用いることが重要です。自社に合ったDXの形を知りたいと思う場合は「J’s X(ジェイズクロス)」のようなソリューションサービスの利用をおすすめします。J’s Xは、JSOLがServiceNowの豊富な導入経験をもとに、あらゆる業務プロセスをシンプルにするソリューションです。さまざまな業界・業種に合わせた支援ができますので、自社に合うDXを推進したいとお考えの場合は、ぜひJ’s Xの導入をご検討ください。