サイロ化とは、企業全体の情報やデータ共有がさまざまな理由でできていない状況を指します。伝統的な日本企業に多く見られるサイロ化は、縦割り構造型の組織が原因とされています。また、近年注目されているDX化を妨げる原因にもなっていて、企業として改善しなければならない課題です。
今回はサイロ化の概要やデメリット、改善する方法について詳しく解説していきます。
サイロ化とは
サイロ化とは企業の部署やチーム間で情報共有がされず、データが活用できていない状態を指します。各システムとの連携ができず、組織ごとにデータが貯蔵される現象が家畜の飼料や物資を保管するサイロと似ていることから、サイロ化と呼ばれるようになりました。
企業のサイロ化には「組織のサイロ化」と「システムのサイロ化」の2種類にわかれます。
組織のサイロ化とは
組織のサイロ化は「部門やチームで情報共有・連携がとれていない」状態を指します。
部門を縦割り構造にしている企業では、部門間の情報共有や連携が取りにくく、組織のサイロ化が起こりやすいものです。部門の縦割り構造は業務効率化や情報の積み上げをしやすくなる一方、ほかの部署やチームとのコミュニケーションがとりにくく、情報共有ができなくなるデメリットがあります。
組織のサイロ化は大きな企業だけでなく、中小企業でも起こり得る現象です。支店展開している企業も支店ごとに知識やノウハウが異なるため、全社的な運営が難しくなってしまいます。
システムのサイロ化とは
「各部門、チームで異なるシステムを利用しているために、必要な情報が社内で共有できない」状態がシステムのサイロ化です。
開発部門では○○ソフト、営業部門では▲▲ツールなど、それぞれが別のシステムを利用していると、情報が統合できず、全社的なデータ活用が困難になります。特に規模が大きい企業では、取引先は同じなのに別のツールで管理していた…といった不要な手間がかかっているケースもあります。
たとえば顧客から営業部門に対して開発に関する要望が届いていても、開発部門に顧客の要望が伝わらなければ、ニーズにあった開発はできません。サイロ化していると、情報が共有できず、技術やリソースがあっても顧客のニーズに応えられる製品・サービス開発もできなくなります。
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サイロ化による問題・デメリット
サイロ化の原因は組織の縦割り構造であることが多く、部門間で情報共有ができていないとさまざまなデメリットがあります。特に企業が大きくなればなるほどサイロ化は進み、DX推進ができず悩む企業も少なくありません。
ここからはサイロ化によって起こる問題・デメリットを5つご紹介します。
業務効率の低下
サイロ化の一番の問題として「業務効率の低下」が挙げられます。
システムのサイロ化でも触れましたが、それぞれの部門でデータ管理している場合、同じ顧客のデータを入力、分析する手間がかかります。また、部門間でデータ共有できる場合でも、どちらの情報が最新なのかわからずに精査に時間がかかるケースも少なくありません。
サイロ化はデータ入力や精査の時間がかかるだけでなく、必要なデータを収集する無駄な時間が発生します。1つのデータを複数の部門で管理するのは、全社的な業務効率の低下につながるでしょう。
コストの増加
部門ごとで異なるシステムを利用していると以下のようなコストがかかります。
・システム導入・運用にかかるコスト
・部門間で情報共有するコミュニケーションコスト
・システムごとのマニュアル作成、整備コスト
各部門で異なるシステムやツールを利用している場合、それぞれに運用コストがかかります。また、部門間で情報共有するためにコミュニケーションコストも増加するため、サイロ化には金銭的・人的コストが増加します。
データ活用ができない
顧客データや技術データ、生産データなど、企業が収集した膨大なデータは今後経営を行う上で必要な経営資源です。サイロ化が進むと各部門で収集したデータが分断され、必要なときに活用できません。各部門でどのようなデータを保有しているか確認できないため、中には、足りないと思っていたデータが実はほかの部門で放置されていた、ということもあるようです。
サイロ化によりデータが活用できなければ、急激な顧客ニーズの変化に対応できず、市場競争に負けてしまう可能性もあるでしょう。
サービスの質の低下・顧客満足度の低下
サイロ化は社内に顧客からの声や売上データが分散してしまうため、結果的にサービスレベルの低下、顧客満足度の低下につながる可能性があります。営業担当が受け取った顧客からの声を受け取っても、開発部門やマーケティング部門に共有されなければサービスの質が下がってしまいます。
中でも多くの顧客から連絡がくるカスタマーセンターで顧客情報が閲覧できないと、顧客に合わせた最適な対応が困難となり、顧客満足度の低下につながりかねません。部門間で連携がとれていないと「前回の対応と言っていることが違う」と顧客からクレームが発生するリスクもあります。
意思決定の遅延
組織やシステムのサイロ化が起きてしまうと、社内のデータ収集に時間がかかり、意思決定にも時間がかかります。意思決定の早さは市場競争において重要であり、時間がかかればかかるほど競合他社に遅れをとってしまうでしょう。
年々急速に変化していく市場ニーズに応えるためには、データの収集や顧客ニーズの把握が欠かせません。市場競争を勝ち抜き、ビジネスを拡大していくためには、素早いサイロ化の改善が求められるでしょう。
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サイロ化を改善する効果・メリット
デメリットを改善し、各部門でのみ共有されていたデータが社内全体で活用できるようになると、さまざまなメリットが得られます。ここではサイロ化を改善すると、得られる効果・メリットについて2つご紹介します。
企業データの価値が向上する
各部門でしか共有されていなかったデータを統合データとして活用できれば、企業データの価値が高まり、製品やサービスの向上が期待できます。統合データとして活用できれば、部門ごとに分かれたデータを集める手間や分析する手間が省けるため、生産性の向上も期待できるでしょう。
特にいままでうまく利活用できていなかったデータも、他部門で積み上げたデータを組み合わせれば新しいインスピレーションが生まれるかもしれません。また、ほかの情報やデータと合わせることで新たなビジネスモデルやサービス創出につながる可能性もあるため、経営に役立てることも期待できます。
DX推進につながる
サイロ化が改善されれば全社システムの統一や連携がしやすくなり、DX推進にもつながります。サイロ化は部門毎に最適とされているシステムを導入している状態のため、無駄なコストや手間がかかります。しかし、全社統一システムなどを導入してサイロ化が改善されれば、データや情報の活用、コスト削減、生産性向上による売上げアップなど、多くのメリットが得られるでしょう。
サイロ化の改善は結果としてDX推進にもつながり、意思決定スピードも向上します。経営に必要なデータを活用し、分析を行うことで、急速に変化する市場のニーズにも応えられるようになるでしょう。
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サイロ化を解決する改善方法
サイロ化を改善、防止するためには、全社一丸となって取り組む必要があります。ここからは企業サイロ化を改善する方法を3つご紹介します。
企業として具体的な目標を共有する
サイロ化を防ぐためには、企業として具体的な目標を全社で共有する必要があります。縦割り構造の企業では、日々の業務に追われて経営目標やビジョンが薄れがちです。サイロ化は部門として最適を目指した結果起こる現象のため、お互いにメリットがなければ協力するのも難しいでしょう。
しかし、組織全体で情報共有できる仕組みづくりを目標とすればサイロ化を防ぎ、風通しのいい企業へ変革できるかもしれません。まずは全社的に現状を知り、どうすればサイロ化が改善できるのか検討してみるといいでしょう。
統合型のシステム・ツールを導入する
社内に散らばっているデータを統合データにするためには、全社統合システムの導入がおすすめです。部門ごとに異なるシステム、ツールを利用しているとサイロ化の原因となり、部門のサイロ化が改善されても、システムのサイロ化は改善されません。
ERPのようにすべてのデータを一元管理できる基幹システムであれば、リアルタイムな情報をいつでも確認できます。バラバラになっていた顧客データも常に最新の状態が閲覧できるので、開発やカスタマーサポートに役立つでしょう。
部門間の連携が取れる仕組みづくり
部門のサイロ化を改善するには、部門間で連携が取れる仕組みづくりが欠かせません。連携が取れる具体的な施策として、社内SNSやグループウェアなどの活用があります。
特にDX推進も行っている企業であれば、ITや経理など専門性の高い社員だけでなく、あらゆる部門から社員を集めたほうが、新しい概念が生まれやすいです。サイロ化を改善するためにも、社員同士の交流も活発化させていきましょう。
組織を再編という方法も
サイロ化の改善には部門間やチーム間での交流以外に、組織を再編する方法もあります。組織の再編は企業にとって大掛かりな取り組みになりますが、他部門の業務内容を理解することで社員は業務プロセスを全体的に把握しやすくなります。
部門全体での組織編成が難しい場合はジョブローテーション制度を導入して、社員のキャリア形成を促す方法も効果的です。
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まとめ
急激な市場ニーズの変化など、データの利活用が重要な現代では、サイロ化は改善しなければならない課題です。放置してしまうと業務効率の低下だけ以外にもさまざまなコストの増加、顧客満足度の低下など、 企業評価の低下につながります。
サイロ化の改善には全社で目標を共有し、部門に垣根なくデータ共有できる仕組みづくりが欠かせません。また、迅速な意思決定、業務効率化を目指すためにも全社統合システムの導入も重要なポイントです。DX化を推進させるためにも、サイロ化の改善を目指しましょう。
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