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小売業界のDXとは?必要性・課題解決に向けてできることや成功事例を紹介

小売 DX

多くの業界でDX化の実現が経営課題となっていますが、小売業界でもDX推進が急務となっています。しかし、小売業界でDXを推進する必要性や解決できる経営課題について、ご存知ない担当者の方も多いのではないでしょうか。

今回は小売業界の現状と課題、小売業DXでできることについて解説していきます。小売業DXの導入事例についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

小売業界の現状と課題

DXはIT技術を活用して、生活やビジネスにさまざまな変革を起こすものです。IPAが2023年3月に発表した「DX白書 2023」によると、卸売業と小売業でDXに取り組んでいる企業は22.6%と低い水準でした。また、小売業界で言葉の意味を理解して、DXに取り組んでいると回答した企業は15.7%とあまりDXは進んでいません。

 小売業界でDXが進まない理由は以下の4つの課題が考えられます。

・既存システムの老朽化
・人材不足
・消費者の購買プロセス変化への対応
・経営判断に関わる有効データの取得不足

一つずつ確認していきましょう。

既存システムの老朽化

小売業だけに関わらず、DX推進を妨げる原因となっているのが既存システムの老朽化です。既存システムから新しいシステムへ簡単に入れ替えができると考えがちですが、社内にシステムの仕組みを理解している社員がいない場合、システムを解析するのに膨大な時間がかかります。

新しいシステムへ蓄積したデータを移行・連携させるにも時間がかかることもあり、そのまま既存システムを運用しつづけている小売業も少なくありません。しかし、早く新しいシステムへ移行しないと市場のニーズに応えられなくなってしまうリスクがあるため、早期に取り組む必要があります。

人材不足

2023年2月に帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)」によると、非正社員の人で不足割合トップ10業種に小売業があります。

・人手不足割合4位:飲食料品小売 56.0%
・人手不足割合5位:各種商品小売 50.9%
・人手不足割合9位:専門商品小売 44.0%

いずれも2022年1月に発表された同社の動向調査よりも、人手不足の割合は高くなっています。日本では少子高齢化によって働き世代が減少しており、小売業だけでなく多くの業界で人手不足が深刻化しているのが現状です。

パーソル総合研究所と中央大学によって2020年12月に改訂された「労働市場の未来推計2030」によると、小売業は約60万人も人手不足に陥ると予想されています。そのため、早くDX推進に取り組み、業務効率化など自動化を目指さなければなりません。しかし、多くの企業がDXに力を入れ始めているため、DX人材の確保も困難な状況です。

総務省が2022年7月に公表した「令和4年版 情報通信白書」では、日本企業の約68%がDX人材が不足していると回答しています。社会全体でDX人材の需要が高まっていることから、外部からのDX人材採用は難しく、社内で育成する必要があるでしょう。

消費者の購買プロセス変化への対応

新型コロナウイルスの流行によって、消費者のニーズや購買プロセスが一変したことも小売業が取り組むべきDXの課題です。緊急事態宣言などによりネットスーパーの需要拡大、非接触型無人レジの設置など、感染予防対策にIT技術が活用されていました。

社内の業務効率化だけでなく、消費者のニーズに応えるためにも小売業のDX推進は急務と言えます。

経営判断に関わる有効データの取得不足

急速に変化する市場ニーズに対応するには、売上や顧客データなどさまざまなデータの蓄積が欠かせません。製品開発や改良を行うためにも、経営判断に関わる有効なデータの収集は必須です。

IT技術を活用して有効なデータ収集ができなければ、ニーズが把握できず、経営にも大きな影響があるでしょう。

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小売業DXでできること

小売業でDXを推進すると、さまざまな経営課題を解決できます。

ここからは小売業DXでできることを6つご紹介します。

・AIによる在庫管理
・無人レジやキャッシュレス決済の導入
・ECサイトの活用
・物流の業務効率化
・購買情報や顧客情報等のデータの活用
・OMO戦略によるプロモーションおよびマーケティング

取り入れられるものがあれば、積極的に取り入れてみて下さい。

AIによる在庫管理

店舗運営に必要な在庫管理ですが、AI技術を活用すれば過剰発注や売れ残り解消に役立ちます。過去の発注時期や数量をAIが分析・学習することで、自動的に必要なタイミングで発注業務が行われます。

これまで30分以上かけていた発注業務を2分まで短縮した事例もあり、人手不足を解消しながら効率的な店舗運営が実現するでしょう。

無人レジやキャッシュレス決済の導入

近年、多くの小売店で導入されている無人レジやキャッシュレス決済も小売業DXの1つです。無人レジはスムーズな決済が可能になるため、顧客満足度の向上が期待できます。人手が足りない時間帯でも最小限のレジ業務で済むため、人手不足による課題解消にもつながるでしょう。

最新のDX事例では店舗内のカメラを活用して、手に取った商品を自動で認識し、決済エリアに立つだけで購入金額が表示される無人決済システムもあります。

ECサイトの活用

ECサイトの活用は代表的な小売業DXの1つです。ECサイト上で消費者が閲覧・購入したデータを活用して、消費者好みの商品をレコメンドします。消費者は好みの商品が検索しなくても表示されるため、違和感なく商品の提案が実現します。

また消費者が自由にレビューできる機能を搭載すれば、使用感や実際の雰囲気がわからないといったECサイトのデメリットも解消できるでしょう。

物流の業務効率化

小売業界を支える物流業界もDXの導入で、業務効率化や人手不足解消が期待できます。すでにいくつかの企業では、物流拠点である倉庫にロボットを配置し、対象商品をピッキングし、配送業務を一部自動化しています。

さらに、ドローンを活用した配送業務の実証実験を進めている企業も。人的ミスを削減しながら素早く配送作業に移れるため、今後ますます物流の自動化は進むでしょう。

購買情報や顧客情報等のデータの活用

小売業DXで導入する際におすすめなのが、購買情報や顧客情報などこれまで蓄積したデータの活用です。商品購入の時期や購入層の年齢や性別などもPOSレジから取得できるため、マーケティング施策立案に役立ちます。

また、店舗内のカメラを使って消費者の動きを分析すれば、効果的なディスプレイ配置の検討にも役立つでしょう。

OMO戦略によるプロモーションおよびマーケティング

オフラインとオンラインを融合させ、シームレスな購買体験を消費者に提供するOMO(Online Merges with Offline)。OMOは顧客満足度の向上や売上拡大、マーケティング施策の立案など、小売業の課題を解消する重要な施策です。

すでにOMOを取り入れている企業は多く、導入事例を一部ご紹介します。

・Amazon Go:消費者が手に取った商品を自動認識し、ゲートを通るだけで決済が完了。
・BEAMS:購入履歴を基に、消費者に合わせた商品のレコメンド、サービス案内。さらに店舗受け取りや自宅での試着申し込みもオンラインから可能に。
・スターバックス:事前にオンラインで商品を注文すれば、店頭で並ばずに商品が受け取りが可能。

上記はあくまでも一部のOMO事例であり、海外ではさらに多くのサービスが提供されています。実店舗とオンラインを連携させることで、消費者のユーザビリティ向上、新たな購買体験が実現するでしょう。

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小売業DXの事例

ここからは小売業でDXを導入した事例をご紹介します。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社では、アプリを使って買い物の利便性を高めることに成功しています。同社はバーコードの読み取りから商品購入まで完了させる「Scan&Go Ignica(イグニカ)」を導入し、消費者のストレスになりがちなレジ並びを解消させました。購入金額に応じたポイント付与サービスや割引サービスもアプリから受けられます。

小売業者としてもレジの配置リソースを削減できるため、人手不足の解消も実現。従業員一人ひとりの負担も軽減されているため、消費者にも小売業者にとっても大きなメリットがあります。

脱スーパーマーケット。スマートフォンを新たなインフラに、これまでになかった業態を作り出すユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)の挑戦|富士通株式会社

ダノンジャパン株式会社

ダノンヨーグルトなど、乳製品を販売しているダノンジャパン株式会社は、購買または購買に至らなかった顧客データを解析する「Go Insight」を導入しています。これまでPOSデータやアンケート調査データを参考にサービスを展開していた同社は、Go Insightによって消費者の行動パターンを分析し、売り場づくりに役立てています。

購入に至らなかったプロセスを解析することで、なぜ選ばれなかったのか、認知を広げるためにはどうすればいいのか施策の立案が可能です。また、消費者の無意識な行動も分析・データ化にも成功し、売り場改善を行っているそうです。

ダノンジャパン株式会社|GOURICA Marketing

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まとめ

消費者の行動にも変化が起こっている近年、オフラインだけでなくオンラインでのマーケティングが欠かせず、小売業にとってDX導入は欠かせません。投資コストや人材獲得など、DXの導入にはさまざまな壁がありますが、小売業の課題を解消するためにも重要な施策です。今回の事例を参考に、自社でもDX推進に力をいれてみてはいかがでしょうか。

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J’s Xは、社内のあらゆる業務をシンプルにするクラウドプラットフォームです。経営判断に関わる有効データの取得が可能となり、またJ’s Xのダッシュボード機能によりそれらデータの可視化を実現できます。

事前コンサルティングでご要望や現状についてのヒアリングを行い、貴社により適した導入方法をご提案することも可能です。まずは一度、お気軽にお問い合わせください。

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