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IoTとは?言葉の意味や活用事例をわかりやすく解説

iotとは


デジタル技術の進歩による高度なデータ活用が進む中、インターネットの新しい技術「IoT」の普及が急速に進んでいます。日本企業の急務とされているDX推進においても、IoTは欠かすことのできない重要な要素といえるでしょう。

この記事では、IoTの概要を解説するとともに、IoT活用によって実現できることや業界別の活用事例についても紹介します。

IoTとは?

そもそも、IoTとは一体どのようなものなのでしょうか。IoTを有効活用するためにも、まずは言葉の意味や仕組みについて正しく理解しておきましょう。

IoTの読み方と言葉の意味

IoTとは、「Internet of Things(インターネット・オブ・シングス)」を略した言葉です。読み方は「アイオーティー」で、日本語に直訳すると「モノのインターネット」という意味になります。

IoTは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの通信機器だけでなく、自動車や家電製品といった、ありとあらゆるモノに通信機能を持たせ、情報交換することによって相互に制御する新しい技術です。

IoTの仕組み

IoTは、4つの要素で構成されています。

・モノ(デバイス)
・センサー
・ネットワーク
・アプリケーション

Iotの対象となるモノには、動きや音、熱などを感知するセンサーが搭載されています。センサーが感知したデータは、ネットワークを介し、クラウドやサーバーに蓄積されます。

蓄積された膨大なデータはアプリケーションで可視化され、再びネットワークを介してモノに伝送されます。このように、相互に情報交換をする流れがIoTの基本的な仕組みです。

IoTとAIの関係性

ありとあらゆるモノがインターネットとつながることで、従来とは比較できないほど巨大なデータ、つまりビッグデータが収集されます。このビッグデータを処理・分析するのに欠かせないのがAI(人工知能)です。

AIは、人間の脳のように知的な情報処理を実現するソフトウェアです。時には、人間の脳を超えるほどの能力を発揮することもあるAIですが、より高い処理能力を身につけるためには、大量のデータが必要となります。そこで、IoTに蓄積されたビッグデータが活用されるのです。

IoTとAIは、互いになくてはならない技術同士であり、組み合わせることで新たな付加価値を生み出すことが期待できる関係性だといえるでしょう。

IoTに関連する通信技術

IoTの普及に欠かせない、次世代の通信技術「5G」「LPWA」について解説します。

5G

5Gとは、「5th Generation」を略した言葉で、次世代移動通信規格のことです。前世代の通信規格である4Gと比較すると、「通信スピードが速い」「通信遅延がほとんどない」「多くの機器と同時接続が可能」という特徴を持っています。

既存の4GやLTEなどの通信規格では、データの遅延が発生し、IoTが円滑に活用できない可能性があります。高速かつ大容量の通信ができる5Gは、IoTに欠かせない通信技術といえるでしょう。

LPWA

LPWAとは、「Low Power Wide Area」を略した言葉で、日本語では「低消費電力広域通信」と訳されます。 LPWAN (Low-Power Wide-Area Network)とも呼ばれています。

低消費電力で低コスト、長距離のデータ通信を可能とする無線通信技術です。5Gよりも通信スピードは劣りますが、広範囲にわたる通信が安価で行えるため、IoTに適した通信方法とされています。

IoTの市場規模

IDC Japan株式会社が2022年4月4日に発表した国内IoT市場予測によると、国内IoT市場におけるユーザー支出額は、2021年の実績(見込み値)は5兆8,948億円で、2021年~2026年には年間平均成長率 9.1%で成長を続け、2026年には9兆1,181億円に達すると予想されています。

人口減少や少子高齢化、就労人口の減少など、日本が抱える社会問題を解決するために、今後ますますIoTの市場規模拡大が見込まれています。

IoTの普及状況

IoTの普及により、パソコンやスマートフォン、タブレットなど、従来のインターネット接続端末に加え、ありとあらゆるモノがインターネットにつながるようになり、世界のIoTデバイス数は増加し続けています。

総務省が発表した「令和4年版情報通信白書」によると、2017年時点で189.9億台であった世界のIoTデバイス数は、2021年には292.7億台と約50.3%も増加しています。今後もIoTデバイス数は右肩上がりで増加しつづけ、2024年には398.5億台を超える見通しです。

令和4年版情報通白書

引用元:令和4年版情報通白書

IoTの活用で実現できること

IoTを活用することによって実現できることは、大きく分けて4つに分類できます。

モノの操作

IoTの活用により、離れた場所にあるモノの遠隔操作を実現できます。

たとえば、エアコンにセンサーを搭載した場合、外出先からでも電源のON/OFF操作や温度調節が可能です。その他にも、照明器具やドア、冷蔵庫やペット用のフードサーバーなど、遠隔操作が可能なIoT機器が普及することで、便利で快適な生活が送れるようになっています。

モノの状態を知る

離れた場所からモノの状態を知ることも、IoTの活用によって実現できます。

工場の製造設備にセンサーを搭載していれば、現場に出向くことなく稼働状況を確認できます。離れた場所から家電の利用状況を知り、住人の安否確認を行う「見守りサービス」もIoTの活用によって実現したサービスの一つです。

モノの動きを検知

IoTとセンシング技術と組み合わせることで、モノの動きを検知できるようになります。センシング技術とは、センサーなどでさまざまな情報を計測し、数値化する技術です。

人の動きを検知して照明が点灯・消灯したりする機能は、IoTとセンシング技術と組み合わせることで実現しています。

モノ同士の通信

IoTを活用すれば、モノの操作や動きを検知するだけでなく、モノ同士が自動で通信を行うことも可能です。

モノ同士の通信に人が介在する必要はありません。これまで人の手で行っていた作業が不要となり、業務の効率化が図れます。業務の自動化を実現する上では欠かせない機能といえるでしょう。

【業界・分野別】IoTの活用事例

具体的には、どのようなIoTの活用事例があるのでしょうか。業界・分野別にみていきましょう。

物流におけるIoT

物流業界でのIoT活用例は、倉庫作業と配送作業の2つに分類することができます。

倉庫作業における代表的なIoT活用事例としてあげられるのが、無線通信でデータを読み込み・書き換えができる「RFID」や、読み取り機器を使用し、倉庫内の情報を一元管理する「WMS(倉庫管理システム)」です。

配送作業では、「TMS(輸配送管理システム)」にIoTが活用されています。最適な配車ルートや人材配置などの最適化を行い、業務の効率化に役立っているのです。

農業におけるIoT

先端技術によって超省力化や高品質生産等を目指す「スマート農業」では、主要な技術としてIoTが活用されています。

ハウス栽培では、センサーが感知した日射量や土壌の状態をもとに、水やりや肥料の最適なタイミング・量を算出するほか、離れた場所からでもハウス内の空調調節が可能となり、省力化と高い生産性を実現しました。

医療におけるIoT

医療でもさまざまなIoTが活用されていますが、近年注目を集めているのが「ウェアラブルデバイス」です。

ウェアラブルデバイスは、身体の一部に装着するだけで体温や心拍数、歩数や消費カロリーなどの計測ができ、データ化することができます。健康維持や予防ケアとして役立つほか、医師とデータを共有することで、離れた場所からの診察や処置も可能にしています。

製造におけるIoT

製造業界は、検品や混在物の検出、機械や設備の異常検知、工場全体の入退を管理する顔識別など、すでに多くのIoTが活用されている業界です。

機械や設備の異常検知では、IoT機器が外観画像や温度変化などさまざまな数値情報を収集し、AIがデータを分析して異常を検知するという仕組みで行われています。今後は、異常を事前に察知してトラブルを防ぐ、予知保全分野での活用も期待されているのです。

交通におけるIoT

高速道路では、IoTを活用して保守点検作業や道路情報の監視が行われています。従来は危険の伴う場所での保守点検作業、渋滞や事故、落下物などの異常検知は人力で行われてきました。しかし、IoTと5Gを活用することで、従業員が危険にさらされることなく、高速道路の安全を確保することが可能となりました。

公共交通機関の運行状況をweb上やアプリでリアルタイムに確認できるシステムにも、IoTが活用されています。

IoTが活用されている身近な例

人々の暮らしでもすでにIoTの普及が進んでいます。無意識のうちにIoTを活用している方も少なくないでしょう。

ここでは、IoTの身近な活用事例をご紹介します。

スマートLED

スマートLED(スマート電球)とは、スマートフォンを使って電球のON/OFFや明るさの調節など、さまざまな操作ができるLED電球です。

遠隔操作が可能なので、電気を消し忘れてしまったときにも便利です。タイマー機能や音楽連動機能、スピーカー内蔵型など、様々な機能を搭載したスマートLEDが登場しています。

自動運転

ドライバーに代わって自動車の運転操作を行う自動運転技術もIoTの活用事例の一つです。

車の自動車の各パーツに設置されたセンサーから、走行状況や位置情報などのデータを収集し、AIが分析します。その分析結果を自動車に送ることで、データに応じた運転が可能となります。

自動運転車は、自動運転レベルに応じて0〜5に区分されており、現在、実用化されているのは自動運転レベル3です。完全自動運転となるレベル5に向けては、技術や法律などさまざま課題解決が必要とされています。

スマートスピーカー

スマートスピーカーは、インターネットに接続することで、エアコンやテレビといったIoT機器を操作することができます。

対話型の音声操作に対応可能なAIアシスタントも搭載しているため、「いま何時?」などと話しかけることで、ニュースや天気、交通情報などの必要な情報を自動的に読みあげることも可能です。

スマートロック

スマートロックは、スマートフォンなどを用いて、ドアの施錠や解錠、リモート操作などが行えます。従来のように鍵を持ち歩く必要がないため、家の鍵を忘れたり、紛失したりすることもありません。

基本的に、スマートロックにはオートロック機能が搭載されています。ドアが自動施錠されるため、鍵の閉め忘れなどの防犯対策としても役立っているのです。

まとめ

IoT市場は、今後ますます拡大を広げ、技術も発展することが予測されています。モノとインターネットをつなぐIoTは、人々の暮らしを便利にするだけでなく、働き方改革の推進や新しいサービスの誕生にも役立つものです。

現代社会は、デジタル技術の活用なしには生き残ることができない厳しい時代に突入しています。IoTを積極的に活用したDX化を進め、企業の成長と発展につなげましょう。

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