ビジネス用語集

オーケストレーションとは?ツールの機能や使用例・選ぶ際の注意点を紹介

オーケストレーション

「オーケストレーション」とは、本来ヒトが行っているITシステム管理をソフトウェアによって自動化する機能のことです。DX推進などによりデジタル技術を活用する企業が増えている中で、オーケストレーションはITシステム管理の効率化の役割を果たすことが期待されています。

この記事では、オーケストレーションの概要やメリット、使用例や選ぶ際の注意点などについて解説します。ぜひ、参考にしてください。

オーケストレーションとは

オーケストレーションとは、管弦楽団の「オーケストラ」が語源の、ITシステムやアカウント管理をソフトウェアによって自動化する機能のことです。

大規模なITシステムの管理を手作業で行うことは効率が悪く、複雑性が増すほど難易度も高まっていきます。また、システム運用でのトラブルや不具合発生の可能性も高まるでしょう。

オーケストレーションを導入すれば、膨大なデータの管理や分析、ITシステムの設定や管理などが自動化され、複雑なタスクやワークフローが体系化するなどIT運用の効率化を図ることが可能になります。

オープンソースに用いれば、運用時のトラブルや不具合への対策も強化され、機能の追加や拡張性の向上も期待できるでしょう。

オーケストレーションと自動化の違い

オーケストレーションと自動化は機能面に大きな違いはありませんが、対象となる範囲に大きく異なる点があるのが特徴です。

自動化は、これまで手作業で行っていたITシステム運用における個別のタスクをソフトウェアを活用して代行させることで、単一のタスクを自動化することを指します。対して、オーケストレーションは複数の異なったシステムに関連する複雑なタスクやワークフローを自動化することです。

ITシステム運用の効率化は、個別のタスクを自動化することから始まります。自動化を行った先に、異なった複数システムのタスクを統合するオーケストレーションが実現すると考えるとよいでしょう。

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オーケストレーションのメリット

オーケストレーションの導入にはさまざまなメリットがあります。各メリットについて、詳しく解説します。

コスト削減

ITシステム運用に関連する資金や時間、その他のリソースにはコストがかかるものです。オーケストレーションを導入すれば、時間と労力を要するタスクを自動化することでコストを削減し、その他の有益なプロジェクトに充てることが可能になるでしょう。

チーム間の摩擦を抑制

企業内での業務は、通常チーム体制を組んで取り組むことが多いでしょう。チームメンバー間の価値観や意見の違いによる対立やコミュニケーションが滞ってしまうと、プロジェクト進行に支障をきたす恐れが生じます。オーケストレーションにより、特定のタスクやワークフローを自動化することで、チーム間の摩擦を抑制することが期待できるでしょう。

生産性の向上

繰り返しの作業は、社員にとって精神的にも時間的にも大きな負担となります。同じ作業を繰り返すようなタスクをオーケストレーションで行い、自動化することは生産性の向上にもつながるでしょう。オーケストレーションによって生まれた人材を意思決定や創造性を要するタスクに充てることで、より多くのことを達成できます。

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オーケストレーションの種類

オーケストレーションには、いくつかの種類があります。目的に合わせて適切なオーケストレーションを選択することで、企業のIT運用における効率化が推進されるでしょう。

各オーケストレーションについて、詳しく解説します。

アプリケーションオーケストレーション

アプリケーションオーケストレーションとは、2つ以上のソフトウェアアプリケーションを統合し、一元的に管理、監視することです。アプリ開発やデータ分析、機械学習AIプロジェクトの拡張をする際になくてはならないもので、プロセスを自動化したりデータをリアルタイムで同期させる目的で行われます。

コンテナ・オーケストレーション

コンテナ・オーケストレーションとは、コンテナの管理と調整を自動化することです。ここでの「コンテナ」とは、1つのサーバーのOS上にアプリケーションの動作環境を仮想的に構築する技術のことを指します。

コンテナオーケストレーションは、数が増えてしまうと全体を管理するのが困難であるコンテナを、柔軟性の高いインフラへと導く役割を果たします。

クラウドオーケストレーション

クラウドオーケストレーションとは、クラウド内部のシステム管理を自動化させる技術です。クラウドオーケストレーションには、ユーザーそれぞれのニーズに沿った最適なクラウドリソース環境を得るため主に3つの種類に分けられています。

SaaS

SaaSとはクラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネット経由で提供しているサービスのことを指します。コミュニケーションツールや会計ソフトなどのビジネスシーンで活用するツールを複数のユーザーで共有することが可能です。

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PaaS

PaaSとは、アプリケーションの土台であるネットワークやサーバーシステム、OSやミドルウェアなどの「プラットフォーム」をインターネット経由で提供するサービスです。WindowsやMac OSもプラットフォームに含まれており、一式をサービスとして利用することができます。

IaaS

IaaSとはCPUやメモリ、ストレージなどのインフラを仮想化技術を使用しインターネット経由で提供するサービスです。比較的安価であることや、CPUやメモリなどをクラウド上で使用できるため、データ共有もスムーズなことがメリットとして挙げられます。

セキュリティオーケストレーション

セキュリティオーケストレーションとは、セキュリティ業務に関する自動化と効率化を目的とした技術のことを指します。セキュリティオペレーションの一連の流れである、インシデント発生からの情報の収集や分析、判断までを迅速に行うことが特徴です。

サイバー攻撃などセキュリティの脅威への対策強化だけではなく、セキュリティ人材を補う役割を果たすことも期待されているのです。

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オーケストレーションツールの機能

オーケストレーションはビジネスシーンや日常生活で活用されています。実際に用いられているオーケストレーションツールの機能や役割には次の5つのものがあります。

・繰り返し行われるタスクや頻繁に行うタスクを自動化することによりITシステムの効率化を図る。
・複数のステップを介して行われる多数のステップの自動化を図る。
・自動化されたタスクを基本とし、複数のシステムを介して行うタスクを統合する。
・自動化されたサービスデスクを適正に管理する。
・ライセンス管理やソフトウェア管理などIT資産の管理を行う。

どのオーケストレーションツールに関しても、トラブルやインシデント予測、原因の迅速な究明、課題や目的達成を検証する3つの機能に強みを持ちます。

高度な専門性を持つ要素が自律している機能は「モジュール型組織」と呼ばれ、現代のITシステムでは一般的です。このような機能は、オーケストレーションの導入がビジネスシーンや生活に与える影響は大きいといえます。

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オーケストレーションの使用例

オーケストレーションはシステム部門や技術系部門を中心に活用されているようです。オーケストレーションの使用例について、詳しく解説します。

システム部門を例とした場合

システム部門では、オーケストレーションが次のように使用されています。

・ユーザーライセンスや社内データへのアクセス権の追加や変更、削除。
・ユーザーやAWSなどの仮想マシンのプロビジョニングまたはプロビジョニングの解除。
・メーリングリスト管理。
・パスワード管理。

具体的には、ユーザーの人事異動や入退職があった場合に、各アプリケーションにおけるアカウントの追加や変更、削除を自動で行います。新たなシステムを追加する場合、オーケストレーションを使用することで、市場投入までの時間短縮が可能になるでしょう。

技術系企業を例とした場合

技術系部門では、オーケストレーションは次のように活用されています。

・迅速なソフトウェア開発
・トランザクションと呼ばれる一貫した複数の処理の集合体の一括処理
・大規模なサーバーやアプリケーションの保守管理
・データ分析や処理

システム部門で使用する場合と併せて、技術系企業で使用する場合もオーケストレーションは高度なセキュリティ対策や機動性の高い状態を維持することが可能になります。

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オーケストレーションツールを選ぶ際の注意点

オーケストレーションツールを選ぶ際に注意するべきポイントがあります。ポイントを抑えることで、オーケストレーションツールの導入がスムーズに運ぶでしょう。

各注意点について詳しく解説します。

連携できるアプリケーションを確認する

オーケストレーションツールは、組織の中で利用しているアプリケーションやシステムの全てに対応している必要があります。しかし、全てのアプリケーションやシステムに対応するツールがあるとは限りません。

オーケストレーションツールの導入を検討する場合は、組織内で既に利用しているアプリケーションや利用を検討しているアプリケーションに対応しているか確認する必要があるでしょう。

ワークフロー設定や更新が容易にできるか

オーケストレーションを利用しタスクを自動化するためには、ツール内でワークフローを設定する必要があります。

ユーザーの入退職や人事異動に伴うアプリケーションのアカウントの追加や変更、削除を行う場合、あらかじめ役職や部門ごとに振り分けるアプリケーションを決めておかなければなりません。この場合、役職と部門の組み合わせによっては、異なるワークフローの設定や設定後の更新を行う必要があります。

オーケストレーションツール選定の際は、ワークフローの設定や更新のしやすさを確認しておくのもポイントです。

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まとめ

企業内や日常生活にデジタル化が浸透してきている中で、膨大な量のITデータを管理するのは容易なことではありません。オーケストレーションを活用し、ITシステム運用の効率化を目指してみてはいかがでしょうか。

J’s Xは、あらゆる業務を標準化するITソリューションサービスで、さまざまな業界・業種に合わせた支援ができます。自動化処理による、工数削減、作業漏れ防止の機能も持ち合わせており、オーケストレーション活用にも役立てていただけます。ぜひJ’s Xの導入をご検討ください。 

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