プロジェクトの立ち上げに欠かせないのがロードマップの作成です。ロードマップとは、事業の計画やゴールまでの道のりを可視化するツールで、社内での情報共有や、顧客への信頼構築に役立ちます。
今回は、ロードマップとはどういうものかを詳しく解説しながら、作り方や注意点を紹介いたします。

ロードマップとは
ロードマップとは、事業の計画を時系列順に書き出し、ゴールや目標までの道のりを表したものです。図にして可視化することで、過程を直観的に理解できるので、立案や情報共有に大きく役立ちます。
「ロードマップ」は本来はビジネス用語ではなく、文字通り道路に関係するものでした。高速道路や有料道路といった道路の種類やパーキングエリアなどを詳細に書いた地図のことで、決まった道順を通って目的地に行く際に使うものです。
開発の分野で用いられる図や表を用いた計画書が、道路用のロードマップに似ているというところから、同じように「ロードマップ」と呼ばれるようになり、今ではビジネスの広い分野で活用されています。
プロジェクトロードマップとは
プロジェクトロードマップとは、時系列的にプロジェクトの全体像を示した図です。目標や得られる成果物を明記し、どのような手法で進めていくかを記載します。細かい内容ではなく、ゴールと中間目標といった大枠を書いた図で、プロジェクトの理解や把握を手助けします。プロジェクトの開始時に作成するようにしましょう。
プロダクトロードマップとは
プロダクトロードマップとは、ロードマップの中でも、製品の開発に用いられるものを指します。製品をどのようなものにするか、方向性や必要な事柄の優先順位などが具体的に示された開発計画書です。開発を始める時点で作成しましょう。
開発に直接関わる部門だけでなく、マーケティングのチームなどでも使われる場合があります。公開する資料に掲載するなど、顧客の支持や信頼を得るために有効活用している企業もあるようです。
マイルストーンとの違い
マイルストーンは、中間目標の事です。マイルストーンを設定しておくことで、最終目標までの経過を把握しやすくなります。設定する方法としては、スケジュールを等分した位置に設定する方法や、工程の区切りがよいところで設定するといった方法があります。
マイルストーンを設定したら、ロードマップに書き込んでおくとよいでしょう。プロジェクトの進捗具合や、期日までに完了しているかといったチェックに使うことができます。
ガントチャートとの違い
ガントチャートはスケジュール形式の図で、期日やタスクを書き込んで使うものの総称です。ロードマップも、ガントチャート形式で作成する場合があります。
注意しなければならない点として、ロードマップは計画の概要を図にすることが重要であるため、あまり詳細まで書き込むと、わかりにくくなってしまいます。最終目標や重要なマイルストーンを確認できるように、大きな流れを図示するのが一般的です。
反対に、個々の工程や短いスパンのガントチャートだけでは、全体像が把握しにくいという欠点があります。作業ごとにガントチャートを作成する場合も、全体像を把握するロードマップは作成しておきましょう。効率的にプロジェクトを管理できます。
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ロードマップ導入の目的・メリット
ロードマップとして図を作成すると、目標や計画を可視化でき、情報共有もスムーズに行えるようになります。ロードマップ導入の目的やメリットについて解説いたします。
目標を明確にできる
ロードマップとは、プロジェクトや製品開発について最終目標や概要を図示するものです。最初に作成することで目標を明確にでき、関わる従業員が一丸となって取り組むことができるようになります。個々の作業が最終的にどのような結果につながるかということも、ロードマップを見れば一目で確認できるので、モチベーションを保つ効果も期待できます。
具体的な計画が立てやすくなる
ロードマップを活用すれば、具体的な計画を立てやすくなるというのもメリットです。ロードマップ作成時にゴールと期限を作成して、大きな流れを決めておけば、達成するまでの課程を逆算する形で計画を立てることができます。いつまでに何をすればクリアできるか検討しながら細かいスケジュールを考えると、具体的な計画もスムーズに立てられます。
プロジェクトのメンバー全員に計画が共有しやすくなる
プロジェクトの計画を関わるメンバーに共有しやすくなる点は、ロードマップ作成の大きなメリットです。図にすることで、おおまかなスケジュールや全体の流れが視覚的に把握しやすくなります。全体の中における自分のポジションや、他の関係者との関わりを確認できるので、認識のずれによるミスなどを減らすことができるでしょう。
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ロードマップの作り方
作成時は適切なステップを踏むことで、活用しやすいロードマップを作ることができます。具体的なロードマップの作り方について解説します。
ゴールと期限を設定
まずはじめにゴールを設定し、達成する期限を定めます。開発の分野なら製品のリリース時期、製造分野ならクライアントへの納品日などを期限として、最終目標を決めましょう。
営業のような分野なら、年度末や決算期で区切ったほうがわかりやすいかもしれません。また、会社全体の目標を考える場合は、5年や3年といった単位の長期的なロードマップを作るとよいでしょう。
現状の把握
ゴールが決まったら、現状からの道のりを考えます。タスクやプロジェクトの達成までに、なにが不足しているのかを探るには、現状を正確に分析することが必要です。
また、過去の実績や現在行っている取り組みを確認し、人員や予算をどれぐらい使っているかということも把握しておきましょう。売り上げ目標のようなゴールなら、実現性の見積もりや途中経過のペースの確認も、過去のデータに基づいて行えるので、整理しておきましょう。
課題の洗い出し
ゴールまでにクリアしなければならない課題を洗い出します。現状では対応できない課題があれば、解決策の検討が必要です。例えば特定の技術を持った人材が不足しているといった場合は、採用や育成の強化を考えなければなりません。目標達成までの道のりを細かく検討し、必要な人員やコスト、作業時間などの課題を確認しておきましょう。
課題の洗い出しを行うと、目標と現状のギャップが大きすぎて、期日までの達成が不可能だと気付く場合もあります。無理がある場合はゴールや期限を考え直すことも必要です。実現可能なものに修正しましょう。
マイルストーンの設定
目標を達成するために必要なタスクにおいて、特に重要なものはマイルストーン(中間目標)として設定します。特に長期に及ぶプロジェクトでは、途中にマイルストーンを設定することで、進捗や達成具合が把握しやすくなります。スケジュールを等分する箇所か、工程の区切りのよい箇所で定めましょう。
計画表の作成
目標や課題、マイルストーンが定まったら、ロードマップとして計画表を作成します。フローチャートやガントチャートの形式で作ると、見やすくわかりやすいロードマップになるでしょう。
関係者に周知・共有
マイルストーンが完成したら、関係者に周知して確認や賛同を得ることも重要です。メンバーと共有することで責任感が生まれ、主体的に取り組んでもらえるようになるでしょう。
プロジェクトメンバー以外の従業員や社外にも周知することで、よりよい効果を期待できるケースもあります。プロジェクトについて社内の理解を得るためや、クライアントの信頼獲得のためなどに、有効活用してみてください。
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ロードマップ作成時のポイント・注意点
せっかくロードマップを作成しても、細かすぎたり明確さに欠けていたりすると、有効活用できない場合があります。使いやすくわかりやすいロードマップとはどのようなものかを解説しながら、作成時のポイントや注意点を紹介します。
細かく設定しすぎない
ロードマップとは、プロジェクトの全体像をわかりやすく示すために作るものです。丁寧な説明を意識するあまり、細かく設定しすぎてしまうと、かえって全体像が掴めなくなることがあります。俯瞰的に全体像を把握できることを意識して、ロードマップを作成しましょう。
詳細な情報はロードマップとは別に、工程や日程単位でのスケジュールを用意して記載しましょう。大枠はロードマップで確認し、細かい情報は個別の資料を参照するように作成しておくと、業務をスムーズに行えます。
目標・期日を明確に数値化する
目標や期日の基準は、具体的な数値で設定するようにしましょう。例えば、売上を上げるという目標だけでは、人によって捉え方にばらつきが出てしまいます。有効活用できるロードマップを作成するためには、金額や前年比何%といった客観的な基準を用いるようにして、目標や期日を明確に数値化するとよいでしょう。
進捗の把握や評価は定量的に行う
進捗の把握や評価も数値化して定量的に行いましょう。プロジェクトの進み具合を正しく把握していないと、順調に進んでいるのか、あるいは軌道修正が必要なのかといったことが判断できなくなってしまいます。
数値化できる目標を掲げるとともに、評価を行う際も具体的な数値で判断するようにこころがけましょう。
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まとめ
ゴールや目標までの道のりを可視化できるロードマップは、プロジェクトの立ち上げや製品開発に欠かせないツールです。社内外での情報共有にも役立つため、ぜひ使いやすいロードマップを作成してみてください。
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