現在、日本では政府が主導となって働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。それに伴い、多くの企業が業務改善への取り組みをはじめています。
業務改善には、まず業務プロセスの可視化を行うことが重要です。
この記事では、業務プロセスの可視化とは何か、重要性や得られるメリットについて解説します。業務プロセス可視化の方法やポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
業務プロセス可視化とは
業務プロセス可視化は、日常的に行われる業務の流れを指す「業務プロセス」と、目には見えない事物を図やグラフを用いてわかりやすくする「可視化」を組み合わせた言葉です。
つまり、業務プロセス可視化とは、業務の流れを目で見える形にし、業務全体を把握することを指します。
業務プロセスをぼんやりと把握している状態では、問題や発生の課題に気付きにくく、大きなトラブルにつながる可能性もあるでしょう。「いつ」「どこで」「誰が」「どのような目的で」「どのような方法で」など、業務プロセスを可視化することで、問題点が明確となり、適切な対処も可能となります。
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業務プロセス可視化の重要性
毎日こなしているルーティンワークは、習慣や感覚で行っている場合が多く、業務プロセスについては意識していないという方は少なくないでしょう。しかし、ルーティンワークを可視化した結果、無駄な作業や解決すべき課題が浮き彫りになることも珍しくありません。
無駄な作業の積み重ねは、生産性向上を阻む要因となるため、早急に改善や見直しに取り組む必要があります。
業務改善に取り組むためには、まず現状を把握し、課題を明確にすることが必要不可欠です。このようなことから、業務プロセスの可視化は、業務改善や生産性向上を実現するための第一歩といえる、重要な作業といえるでしょう。
現在、日本企業の急務とされているDXの一環としても、業務プロセスの可視化は重要視されています。DXは、デジタル技術を活用して、抜本的な変革を目指す取り組みです。課題が明確となれば、解決するために有効なITツールの選択・導入ができ、DXの実現にもつながるでしょう。
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業務プロセス可視化のメリット
業務プロセスを洗い出し、可視化する作業には、時間や手間がかかります。「忙しくて時間がない」「面倒だ」と感じる方も多いでしょう。しかし、業務プロセスの可視化を行うことで、得られるメリットがあります。
どのようなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。
問題が明確になり業務改善が実施しやすくなる
業務プロセスの可視化で得られる最も大きなメリットとしてあげられるのが、業務改善の実施がしやすくなることです。
業務の一部のみを見ているだけでは、課題や問題点に気づくことはできません。業務プロセスを目で見える形にすることで、日々の業務の全体像を把握できるようになり、水面下に潜んでいる本質的な問題に気づくことができます。各作業にどれくらいの時間やコストがかかっているかが明確になり、業務の無駄に気づくこともできるでしょう。
時間がかかりすぎている作業があればチームで分担したり、重複している無駄な作業は省いたりするなど、問題が明確となることで具体的な業務改善案が立てやすくなります。
業務プロセスに対する共通の認識が持てる
組織の目標達成には、社員一丸となって取り組むことが必要です。しかし、業務プロセスが明確化されていない場合、プロセスの認識が個人によって異なり、作業スピードや品質にばらつきが生じる可能性があります。そのような状態では、組織全体での目標達成は遠のいてしまうでしょう。
業務プロセスの可視化を行うことで、組織として目指す目標はもちろん、目標までの途中経過までもが明確になります。社員全員が共通認識のもとで業務に取り組めるようになり、より効率よく目標達成が目指せるでしょう。
業務の属人化の解消
属人化とは、ある業務の進め方や進捗状況などを特定の担当者しか把握していない状況を指します。
業務プロセスの可視化ができていない場合、担当者以外はどのような手順や手段で業務を進めていいかがわからず、業務の属人化が生じてしまうでしょう。担当者が休んだり退職したりした際には、業務が滞ってしまう可能性があります。
業務プロセスを可視化し、仕事の進め方や手順を共有することができれば、業務の属人化も解消できるでしょう。業務の属人化解消は、引き継ぎや教育、新人研修などもスムーズに行えるようになります。
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業務プロセス可視化の方法
業務プロセス可視化のメリットは理解しつつも、どのような方法で取り組むべきかがわからない方も少なくありません。
ここでは、業務プロセス可視化の方法について解説します。
プロセスマップ・フローチャートの作成
業務プロセス可視化は、誰が見ても業務の全体像がわかるよう、プロセスマップやフローチャートを作成するとよいでしょう。
プロセスマップとは、業務プロセスの階層を図式として可視化したものです。丸や四角形、矢印など、標準化されたシンボルやルールを用いて作成します。
プロセスマップにはさまざまな種類がありますが、最もシンプルなものがフローチャートです。業務の一連の流れを矢印を用いて図式化します。左から右へ、上から下へ流れるように要素を配置するのが基本ルールです。
プロセスマップやフローチャートを作成し、業務プロセスを視覚的に表現することで、誰が見ても直感的に理解できるようになります。複雑な説明を読んだり説明したりする手間も不要となるでしょう。
スキルマップの作成
スキルマップとは、業務で必要なスキルと、従業員一人ひとりの持っているスキルを一覧にした表です。力量表や力量管理表、スキルマトリックスとも呼ばれています。
スキルマップは、横軸は業務遂行に必要なスキル、縦軸に従業員の名前を記し、スキルと名前が交わるマス目に、その従業員の持っているスキルレベルを数値で記します。
部門やチーム単位でスキルマップを作成することで、組織内の人材リソース状況を一目で把握できます。現在または将来不足するであろうスキルが可視化され、どのように人材リソースを補充していくかを策定することも可能です。
業務フローやマニュアルを作成する
プロセスマップやスキルマップを基に、業務フローやマニュアルも作成することも業務プロセス可視化に有効です。
業務プロセスを明確化した上で作成したマニュアルがあれば、誰もが同じ手順、同じ品質で業務をこなせるようになります。作業の無駄やミスも減り、生産性の向上も期待できるでしょう。 人事異動や退職時などの業務引継ぎもスムーズに行えます。
業務フローやマニュアルは、業務プロセスの可視化に有効ですが、何年も更新されていないマニュアルは、かえって作業ミスを引き起こす要因となるため注意が必要です。業務内容に変更が生じた場合は、その都度マニュアルに反映させるようにしましょう。
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業務プロセスの可視化のポイント
ただ闇雲に業務プロセスを可視化しただけでは、十分な成果が得られません。業務プロセスの可視化を最大限に活用するためには、おさえるべきポイントがあります。
ここでは、業務プロセスの可視化のポイントについて解説します。
目標(KPI・KGI)を設定する
業務プロセスの可視化に取り組む際には、目標となるKPIやKGIを設定することが大切です。
KPIは、「重要業績評価指数」と訳されます。目標の達成度を計測するために用いられる指標です。業務プロセスの可視化におけるKPIとして、業務時間や残業時間、納品までの所要時間などがあげられます。
KGIは、「重要目標達成指標」と訳されます。KPIは目標に向けた中間的な指標であるのに対し、KGIは最終目標といえる指標です。業務プロセスの可視化の最終目標は、明確となった課題を解決し業務改善を行うことです。
KPIを設定することで、業務プロセスの課題が明確となり、KGIである業務改善の実現が可能となります。
図や表の活用
業務プロセスの可視化には、図や表の活用が欠かせません。文字だけが羅列された状態では、各業務のつながりがイメージできず、全体像も把握しづらいでしょう。長い文章は読む人に負担を与え、中には読み飛ばしてしまう人もいるでしょう。正しく内容が理解されない可能性が高まります。
業務プロセスの可視化は、プロセスマップやフローチャート、スキルマップなどを活用し、視覚的に示すことが大切です。
業務プロセス可視化ツールを導入する
よりスムーズな業務プロセス可視化を行うなら、ITツールを活用するとよいでしょう。
業務プロセス可視化ツールとは、業務プロセスを可視化・図式化し、無駄や改善点を自動的に分析してくれるシステムです。業務フロー図の作成や作業の進捗状況を確認するもの、業務改善後の効果を予測できるものなど、さまざまなツールがあります。
労働時間の管理や適正化が求められている今、PCの操作ログを取得し、従業員の業務実態が把握ができるツールも注目を集めています。テレワークやサテライトオフィスなどが広まるにつれ、勤務実態が把握しづらい場合は、ITツールの導入を検討するとよいでしょう。
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まとめ
業務プロセスの可視化は、業務改善の第一歩として欠かせない取り組みです。図式化したりツールを導入したりすることで、業務プロセスの可視化がスムーズに行えます。
しかし、業務プロセスの可視化しただけでは、業務の改善にはなりません。業務プロセスの可視化によって、浮き彫りとなった課題や問題点を解決することによって、適切な業務改善に取り組めるでしょう。
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