ビジネス用語集

プロジェクトポートフォリオマネジメント(PPM)とは?必要な理由や推進のコツを紹介

プロジェクトポートフォリオマネジメント

多くのプロジェクトを管理しなければいけない組織にとって、プロジェクトポートフォリオマネジメントを適切に行うことは、非常に重要です。

組織の規模が大きくなり、管理するプロジェクトが増えると、組織の戦略的な目標とプロジェクトを関連付けることが難しくなってきます。そのような時に、プロジェクトポートフォリオマネジメントを行えば、戦略目標を効率よく達成するためのプロジェクトの選択や監視が可能になるのです。

この記事では、プロジェクトポートフォリオマネジメントの意味だけでなく、管理のコツや導入までのステップなども紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。

プロジェクトポートフォリオマネジメント(PPM)とは

プロジェクトポートフォリオマネジメント(PPM)とは、組織において、プロジェクトを戦略的に管理するために用いられる方法です。

組織にとっての戦略的重要性や目標に基づき、それぞれのプロジェクトの価値を見極めて評価し、ポートフォリオに追加、管理します。

プロジェクトをポートフォリオ化することで、経営資源を適切に分配することが可能になり、成功率や収益性の低いプロジェクトを見直すなど、組織のパフォーマンス向上も期待できます。

プロジェクトポートフォリオマネジメントとプロジェクトマネジメントとの違い 

「プロジェクトマネジメント」もプロジェクトポートフォリオマネジメントと同じような意味で使われることがありますが、これらは異なる言葉です。

プロジェクトマネジメントは、プロジェクトの目標を達成するための戦略で、プロジェクトを計画通りに行うために、コストや人材などさまざまなリソースを管理することです。

それに対し、プロジェクトポートフォリオマネジメントは、組織内の複数のプロジェクトを評価し、優先順位をつけて、組織の目標を達成するために必要なプロジェクトを選択することに重点が置かれています。

プロジェクトポートフォリオマネージャーの役割

プロジェクトポートフォリオマネジメントの中で重要な役割を担うのが、プロジェクトポートフォリオマネージャーです。

プロジェクトポートフォリオマネージャーは、その名前の通り、プロジェクトポートフォリオの作成と管理を行う人です。予算や納期、人材などの組織内の制約条件を把握したうえで、戦略目標と照らし合わせながら、プロジェクトの選択をします。

選択したプロジェクトにリソースを割り当てて管理し、リスクマネジメントも行います。プロジェクトマネージャーと連絡をとりあって、プロジェクトの最新状況を反映したり、プロジェクトが投資した費用に対して、どれくらいの利益を出しているかを追跡することも役割の1つです。

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プロジェクトポートフォリオマネジメントが必要な理由・背景 

プロジェクトポートフォリオマネジメントは、組織の戦略に即した形でプロジェクトを管理するために必要なフレームワークです。

プロジェクトをポートフォリオで一元管理することは、それぞれのプロジェクトに集中するあまり、長期的な視点や全体像を見失ってしまうことを防ぎます。

特に、多くのプロジェクトを同時に抱えている組織にとって、組織の経営資源をどのプロジェクトにどのように分配するのかという決定は、非常に重要です。投資効果を最大化するためには、適切なプロジェクトを適切なタイミングで実行する必要があります。それを把握するために、プロジェクトポートフォリオマネジメントは重要な役割を果たしているのです。

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プロジェクトポートフォリオ管理を実施するメリット

プロジェクトポートフォリオマネジメントの実施は、組織にとって、さまざまなメリットをもたらします。

特に大きなメリットは、組織内に複数存在するプロジェクトを統合的・俯瞰的に監視し、全体像を把握することが可能になることです。戦略目標とプロジェクトの関連性が可視化され、プロジェクトの進行状況をリアルタイムで把握できるようになって、迅速な意思決定にもつながります。プロジェクトごとの連携がとれ、組織やチーム内のコミュニケーションの改善も期待できるでしょう。

プロジェクトポートフォリオは、組織のリスクを最小化するためにも有効です。成長のために容認すべきリスクと、そうでないリスクを明確にし、リターンとあわせて検討することで、リスクを判断できるようになります。リスクに見合う価値を提供できるプロジェクトのみをポートフォリオに加えることで、組織のリスクも最小限に抑えられるのです。また、全体としてのプロジェクトのコストを分析することで、予算超過や遅延などの問題に事前に対処することも可能になります。

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プロジェクトポートフォリオ管理を行うための5つのステップ 

プロジェクトポートフォリオマネジメントのプロセスには、確立された以下の5つのステップがあります。

・ビジネス上の目標を特定する
・候補となるプロジェクトの情報やアイデアを収集、調査する
・最適なプロジェクトを決定する
・ポートフォリオ全体についての検証
・プロジェクトの実施とポートフォリオの管理

それぞれのステップついて、解説します。

ビジネス上の目標を特定する

まず、指針とするビジネス目標を特定する必要があります。

組織の中には、いくつもの戦略目標が存在する場合があります。プロジェクトポートフォリオマネジメントを効率的に実施するためには、その中の何を優先し、どのような目標に沿ったものにするのかを明確にしなければなりません。成功の定義を明確にしなければ、選択基準が定まらず、プロジェクトの選択は難しいものになります。

候補となるプロジェクトの情報やアイデアを収集・調査する

指針となる戦略目標が特定され、目指す形が明確になったら、それに関連するプロジェクトをすべて集めます。

候補になりそうなプロジェクトの情報や、チームメンバーが思いついたプロジェクトに関するアイデア、顧客からのフィードバックなどを集めて調査します。せっかく生まれたアイデアをしっかり評価し活かすことができるように、アイデアを入力して管理できるような方法を構築しておくとよいでしょう。

最適なプロジェクトを決定する

候補となるプロジェクトについての情報やアイデアが把握できたら、その中からポートフォリオに追加するプロジェクトを決定していきます。

選択するプロジェクトは、先ほど特定した目標に沿ったものであることが大切です。さらに、プロジェクトの投資収益率(ROI)、プロジェクトに要する期間、プロジェクトのリスクといった評価基準とも照らし合わせて検討してみるとよいでしょう。

優先順位の高いものから候補となるプロジェクトを選択し、暫定的なポートフォリオを作成します。

ポートフォリオ全体についての検証

ポートフォリオを作成したら、そのポートフォリオの実現可能性を検証する必要があります。

費用は妥当か、リスクが大きすぎないか、それぞれのプロジェクトに割り当てるリソースは不足しないか、相互の依存関係はどうか、全体のバランスはとれているかなどを確認していきましょう。

プロジェクトの実施とポートフォリオの管理

実現可能であると判断されたら、実際にプロジェクトをスタートさせ、ポートフォリオの管理も行います。

ポートフォリオは一度作成したら終わりというわけではなく、定期的に見直しをしなければなりません。新たにプロジェクトが追加されることもあれば、保留や削除されることもあります。プロジェクトマネージャーとも協力して、プロジェクトを監視し、必要に応じて調整しましょう。場合によっては、リソースの再配分も必要になります。

また、プロジェクトが、最初に特定したビジネス目標に沿って進んでいるのかということも、継続的に確認していくことが大切です。

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プロジェクトポートフォリオマネジメントのコツ・テクニック 

先ほどの5つのステップに従って、プロジェクトポートフォリオマネジメントを進めていく中で、知っておくとよいテクニックを紹介します。

適切な質問

プロジェクトポートフォリオマネジメントを行う上で大切なのは、最適なタイミングで、選択したそれぞれのプロジェクトを進めていくことです。

そのためには、適切な質問を繰り返しながら、継続的に戦略目標とプロジェクトの関連性を確認し、見直さなければなりません。

1つ1つのプロジェクトに対してだけでなく、「プロジェクトの優先順位・緊急性はどうか」「プロジェクト間で重複している部分や、補足しあえる部分はないか」「リソースを割り当てることで、他のプロジェクトに影響が出ないか」など、プロジェクト同士の関連性に焦点をあてた質問も有効です。

コスト/ベネフィット分析

プロジェクトのリスクとリターンを比較検討するための手法で、「費用便益分析」とも呼ばれます。プロジェクトに必要となる費用(コスト)と、そこから得られる便益(ベネフィット)を比較して、プロジェクトを評価します。長期間にわたって、選択肢を客観的に評価するために使われる手法です。

ディシジョンツリー分析

ディシジョンツリーとは「決定木」とも呼ばれ、情報を樹形図状に整理したもので、意思決定に役立つフレームワークです。主観的な要因に左右されやすい場面で、論理的な意思決定をするために有効な手段で、選択肢の比較検討に使われます。

スコアモデル

意思決定の要因に、スコアを付与する手法です。プロジェクトに優先順位をつける際には、このスコアの高さが根拠となります。

推定商業価値 (ECV)

推定商業価値(ECV)は、「現在価値ー投資額」で計算することのできる「正味現在価値(NPV)」という投資によって得られる価値を示す指標に、リスクを組み込んだものです。これは、商業プロジェクト・技術プロジェクトの成功率を評価するのに有効です。

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まとめ

プロジェクトポートフォリオマネジメントを適切に行うことができれば、戦略的な意思決定が可能になり、それは、組織の成長やビジネスの成功にもつながります。

しかし、このプロジェクトポートフォリオマネジメントに重要な「プロジェクトを選択する」というプロセスは、簡単なものではありません。特に、プロジェクト内の業務プロセスが複雑化・属人化してしまっていると、客観的な指標でプロジェクトを評価することは難しくなります。

そのような時は、『J’s X(ジェイズクロス)』のようなソリューションサービスの活用を検討してみてください。『J’s X』は、あらゆる業務プロセスをシンプルにし、標準化することに特化したITソリューションサービスです。

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